カテゴリー
雑記

Google Photos 有料化で考えられるその判断の理由

Google フォトが有料化する日が近づいています。なんでも無料でおなじみの Google ですが、ここ数年は無料をささえるための広告以外のビジネスモデルの比率向上に努めています。いくつかのプロダクトの終了や、Google Photos のようなサービスの有料化は、そういった変革の一環であると考えられます。

Google Photos に限って言えば、これまでは写真の保存を基本サイズに限って無料にし、ファイルサイズの大きなオリジナルデータの保存に追加料金を取るというモデルでした。スマートフォンとの同期は自動で行われ、リサイズもしてくれ、かつ画像検索や自動でのファイル整理、共有機能の提供、思い出ムービーの自動生成など必要十分な機能を提供していました。

Dropbox 以降激戦区となっている個人のクラウドストレージサービスにおいても、Google Drive が市場シェアを拡大すべく、Google Drive との連携によってお互いになくてはならないサービスとして着々と攻め込んでいました。

Google の財力をもってすれば、このまま無料を続けていれば、市場シェアはどんどん拡大しそうなものに思えます。キラーアプリを持っている Microsoft や Adobe のストレージサービスは別にしても、少なくとも、Apple や Dropbox のこれ以上の拡大を阻止する抑止力にはなっていたと、ユーザー目線では感じていました。

しかしそうはしなかったわけです。そこには、以下の4つの理由があるのではないかと勝手に想像しています。

  1. クラウドサービス無料の戦国時代に入ったので競合に対抗するために品質向上へ鍵を切る
  2. プライバシー問題が重要視されるため広告ビジネスのモデルが死ぬという前提で別のビジネスモデルへの大移動をはじめた
  3. 個人ユーザーに対するサブスクリプションモデルを Google もいち早く取り入れ Google ありきの収支計画を立てさせたい
  4. もう画像の機械学習は完成に近づいたのでお前らの協力は不要

1、無料戦国時代について。引き続き全力で広告にかけている Facebook は、写真管理に関して考えれば強敵に見えます。いまの生活スタイルでは、写真を中心にユーザーを獲得すれば、自然と生活の様々な場面に入り込める余地が生まれます。いまのビジネスモデルがこの先も有効であるとするならば、無料の戦略は正しいです。Amazon や Apple は、無料というわけではありませんが、どちらも他に本業があり、その本業との抱合せで、実質無料であったり、極めて体感的に安い価格で写真の管理を提供しています。このまま無料で各社が争いあうよりも、品質向上による差別化を図る意図があるのではないでしょうか。

2、プライバー問題。個人情報を取得し、写真からも個人の属性やつながりを抜き出し推測し、共有や閲覧の関係性からソーシャルグラフを描くという方法は、果たしてこれからも有効なのでしょうか。というよりも、許されるのでしょうか。そのあたりを真剣に考えたら、いつまでも無料にして、タダなんだからデータぐらいよこせ、タダなんだから個人情報ぐらい支払え、というスタンスが、そのうち成り立たなくなると考えられます。というかすでに難しくなっています。次の iOS のアップデートの方向性を見ても、ユーザーの許可なく、あるいはゆるやかな合意の上に個人情報を支払わせるというのは、新時代の搾取に他ならないと社会は指摘するでしょう。その時代背景を前提に、別のビジネスモデルへの移行を進めていると考えるのが妥当です。個人情報を支払わせるのではなく、お金を支払ってもらい、「有償で」個人情報もあずかるというロジックに移行するのでしょう。

3、サブスクリプション戦争。携帯電話代を支払うために食費を削る時代です。他の何を削っても外せない固定の支払いという枠を奪い合っている各社です。これまでは家賃や光熱費といった生活の基本インフラにしか許されていなかった黄金の果実を携帯電話事業者が手にし、その回線を利用するための端末を売る Apple が先行し、いまは更にその端末の上で動く各種サービスが果実の奪い合いをしています。ここで強いのはやはり、それなしでは生きていけないキラーアプリの存在です。Office 製品を持つ Microsoft や、いち早くサブスクリプションへの移行で成功している Adobe のように、Google は YouTube という一撃必殺のアプリを軸に、Google としてのサブスクリプションサービスの魅力の向上、生活の基本インフラ化を図っています。Netflix と YouTube や Spotify と YouTube Music で正面から対抗するだけではなく、写真もついてくるよという見せ方をするために、写真管理が有償で提供されているべきなのでしょう。写真管理アプリ単体は、いくらでも替えがききます。めんどくさいというだけで、他の製品に移動することは不可能ではありません。サブスクリプションパッケージのラインナップ強化はどこも必死なのでしょう。

4、写真は理解した、という話。Google は無料で自動的に写真を吸い上げて、散々それらを解析し、得意の機械学習で画像の理解を深めました。かつ、Google 画像検索での検索キーワードとクリックの動向を紐付け、日々理解を深めています。もしかしたらですが、もうこれ以上大量の学習をさせることの意味はなくなったのかもしれません。もっと大きなブレイクスルーが起きていて、画像を大量の保管して読み込ませるという負荷が必要なくなったのかもしれません。根本的に、ゲームのルールを変えるような、画像解析の手法、画像理解の AI が、生まれつつあるのではないでしょうか。俯瞰してみれば、プライバシー問題もサブスクリプション戦争も理由には含まれ、数々のリスクを含む無料サービスに頼らない戦略構築に移行し始めたと見ることができますが、Google はもっとカオスな組織です。各プロダクト単位で、勝手に判断しており、それが有機的にリンクしていると考えるほうが妥当です。であれば、単純に、画像解析におけるリソースの使い方として、大量の画像はもう必要無いという結論に至ったのではないでしょうか。

つまりは、Google といえども危機感を適度に持っているということですね。炭治郎と違い、Google は判断が早い。

コメントを残す コメントをキャンセル

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください