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雑記

TikTok と他の SNS との違い

最初の頃は距離をおいて怪しんで観ていた TikTok ですが、やはり面白いわけです。何の有益な情報も得られない振り切りはすごいと思います。完全に時間の無駄です。それを踏まえて、読んでください。2019年頃に考えていた内容のメモをもとに、今あらためて考えてみました。
最近、閲覧だけの高齢ユーザーが増えているというのは頷けます。争いばかりの Twitter や他人のキラキラの Instagram、嘘ばかりの Facebook とは決定的に違うのです。

ここ数年、入ってくる「大人」が増えたことで風向きが変わっていますし、TikTok からプロが生まれるぐらいに市場が形成され始めて、変化は大きいと感じます。それでも、本来のその魅力をひとことで語れば、そこは若者たちの無謀や無邪気にあふれてた場所です。

Instagram は元々、ポジティブな画像しかないということで Facebook や Twitter との差別化が出来上がり、ムーブメントを起こしました。TikTok の場合は、それとはまた違った解を示してくれたと思います。単純に自己表現として、見せたいものを表現する純粋な若者が圧倒的に多数なのです。学校内でダンスを踊る動画が多いのは、完全に時代の変化を感じます。

そこには、初期の YouTube 的な魅力があります。思い出すと懐かしい、2005年とかそんな時代のことです。素人が踊ったり演奏したりしている動画を見て、感動したものでした。
しかしクオリティーが全然違うのです。あの頃の、一部の人が配信できるという状況とは変わって、誰もがプロ並みのカメラと編集環境、お手軽なフィルターを手にして、無制限の高速回線を使いこなしているのです。単純に、量が増えた分、質が高まるのも当然です。

プロダクトの特徴としては、Twitter や Instagram のように不特定多数に配信をすることを目指すものではなく、かといって LINE や Snapchat のように閉鎖されたネットワークで完結するものでもありません。その中間に近いユーザーエクスペリエンスがあります。基本的には近しい友人同士の面白い動画の共有ですが、しかしそれが同時に不特定多数への配信にもなっており、たまに飛び出した決定的瞬間や神業が拡散される仕組みがあります。恒久的に影響力を持つユーザーがたくさんいる既存の SNS と違い、単発で爆発するコンテンツが複数あるのです。元はリップシンク系のサービスとして見られていたと思いますが、それを思い出せないほど、今はコンテンツも多様化しています。

音楽やお決まりができて、コンテクストが積み上がっているのも良い事です。つまり、見れば見るほど、面白くなっていくのです。しかし絶妙なバランスがそこにはあります。コンテクストが高まりすぎて、もはや常人には何を言っているのかわからないレベルの障壁を築いてしまったニコニコ動画とは、違いを感じるのです。あれはハイコンテクストの病気みたいなもので、文化の極みであると同時に、選ばれしものにしかわからないという、日本の伝統文化にありがちが進化をしてしまったのです。あれは鎖国国家ですね。今必要なのは、ゆるいつながりなのです。あるいはゆるいつながりにしかなりえない、グローバルなプラットフォームなのです。

文化的な特徴としては、多様性があります。低年齢層が多いことやユーザー属性の幅が広いことで、マイノリティーに対して攻撃的なカルチャーであると感じる部分はありますが、それでも LGBTQ などの積極的な発信とそこでの繋がりは、これまでには無いものであると言えます。

やめられない止められない UI の設計もすごいと思います。閲覧する方も、流れに合わせてサクサクと流れていくし、深掘りする時、横展開する時、全て直感的で新しい体験を感じさせてくれます。迷わず使えるのが本当にすごい。それは投稿する側にとっても同じで、「簡単に」「適法に」好きな音楽と合わせて歌やダンスを見せられるし、編集できるし、必須のフィルターも高性能で手軽に見た目も良くしてくれるわけです。

個人的に好きなのは、決定的失敗系です。やはり、中高生に高性能なスマートフォンをもたせたら、そうなるわけです。常に撮っているから、すごい画が撮れることがあるのです。そういうのが拡散され、共有してもらえるのです。自分たちが子供の頃腹を抱えて笑っていたような事が、今もなお繰り返されており、そこにゲストとして招かれるような体験がこれまでになかった斬新さを生んでいます。

ただ、近しい位置で成功していた Vine や Snapchat の例もあります。これからどうなるかは、全くわかりません。この年齢層を対象にするということは、飽きられる時の速度が尋常ではないというリスクも抱えているのです。Instagram になれるかどうか、あるいは新たなトレンドを生むのかどうか、分かれ目にいます。

個人的に思っている重要な要素は、いかに新規のユーザー(若年ユーザー)を投入し続けられるかということだと思います。ここでおじさんおばさんが指数関数的に増加してきたら最悪です。そういう展開を省きつつ、気兼ねなく、炎上じゃなく好意的なバズを連発し、楽しい日々の演出に一役買うという本来の SNS が目指したかった環境を提供する事が欠かせません。逆に言えば、新陳代謝を良しとして、ユーザー数の増加以外の評価をむしろ重要視する必要があると感じています。

TikTok は他にもいくつか、歴史的なと言って良い影響を与えていると思います。まず、縦撮り動画の推進です。基本的に縦で全てが完結する TikTok の世界です。動画も当然、縦が当たり前。ダンスだろうが何だろうが。これは常に縦に撮っていないとできない事なので、もちろん Instagram のストーリーもそうだと思いますが、圧倒的に、スマートフォンの縦撮りが主流になっているのだと実感します。ハードとしては、その方が持ちやすいですから、テレビで見る前提とか、YouTube で見る前提という従来の常識はもうありません。

また、YouTube の登場以降、子供達のコンテンツ閲覧に対する忍耐が持続するのが10分になったと言われていますが、TikTok を見る限り、それはもう60-90秒になったと思います。YouTube はタブレットやテレビやパソコンで見るため、まだ閲覧時間が長いですが、スマートフォンを手に持って10分って、長いですよね。

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