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SoftBank は Intel を買収するのか?

以前、疑問に思って考えてみたことがある。その後実際に SoftBank による投資が発表され、明らかな動きがあった。そこで改めて、戦略的投資の発表前に思っていたことを記録として残しておきたい。これによって後に何が起きたのかを比較検証できるようにすることが、個人的な目的だ。

SoftBank による ARM 買収の経緯と現在地

2016 年の ARM 買収は、SoftBank が半導体の川上である設計 IP に軸足を置くという明確な意思表示だった。ARM のライセンスモデルは、中立性と拡張性によってモバイルを起点にプラットフォーム化し、IoT やサーバー、スーパーコンピューティングへと適用範囲を広げてきた。SoftBank はこの中立性を維持すると表明しつつ、IP の結合度を高める方向に舵を切り、サブシステム提供やサーバー向けの踏み込みを強めている。2023 年の再上場を経ても、ARM はグループの最重要資産であり、他の投資と連動する要に位置付けられている。

ARM を核にした次の一手

ARM を単なる IP 供給者に留めず、エコシステム全体の牽引役へ引き上げるために、周辺要素の獲得が続く。Graphcore の取得は AI アクセラレータ領域の足がかりであり、Ampere の買収はサーバー CPU の実働部隊をグループ内に取り込むという意図が読み取れる。ARM の低消費電力設計と、データセンターのスケールアウト潮流が組み合わさると、x86 一辺倒だったサーバー市場に別の最適点が立ち上がる。この構図は、後述する Intel をめぐる思考実験に直結する。

SoftBank と Nvidia の距離

かつて SoftBank は Nvidia の大株主であり、AI ブームの前段で強い関係を築いた。しかし売却で巨大な含み益の伸長機会を逃し、その後は協調と競争が同居する関係に変わった。日本国内の AI インフラや通信での共創は進む一方、グループ内に独自の AI チップの芽をいくつも植える動きは、Nvidia の寡占に揺さぶりをかける戦略とも読める。Nvidia は自ら ARM ベース CPU や NVLink を武器に垂直統合を強化しており、両者は重なり合いながらも、長期的には異なるゴールを見ている。

OpenAI を中核とする AI 投資戦略

OpenAI への巨額コミットメント、Oracle 等とのインフラ共同投資、国内での合弁構想。これらはソフトウェア側の牽引役を自陣営に引き込み、計算能力資源を先回りして確保する狙いの表れだ。AI の覇権はアルゴリズムの巧拙よりも、電力と半導体と資本を束ねる統治能力に収れんしつつある。SoftBank は資金供給者としてだけでなく、設計 IP とデータセンター構造の両端を握ることで、AI のスケールを自身のバランスシートと結びつける回路を描いている。

Intel という仮題

では、Intel はその回路にどう接続し得るか。市場の低迷、事業再編の思惑、製造とプロダクトの切り分けという文脈が重なり、買収や資本参加の観測が繰り返し浮上した。報道ベースでは、ARM が Intel のプロダクト部門に関心を示したが不成立に終わり、AI チップ製造の協業打診も生産能力の要件が合わず頓挫したとされる。公式な買収アプローチが存在したわけではないにせよ、部分取得や提携の可能性を探った痕跡はある。問いは単純だ。SoftBank が Intel を取り込む必然性はどこにあり、現実に通る道はあるのか。

戦略的整合性の検討

ARM は IP 指向で製造を持たない。Intel は製造力と x86 を核に広大な顧客網を抱えるが、モバイルや低消費電力の文脈では遅れをとった。二者を束ねれば、CPU の二大アーキテクチャを横断し、データセンターからエッジまで網羅する設計力と供給力を手にできる。AI インフラの垂直スタックにおいても、CPU と AI アクセラレータ、メモリ、インターコネクト、ファブを内包しうる。この絵柄は理屈としては美しい。さらに CHIPS 法の補助金や先端ファブのアクセスは、外部ファウンドリ偏重の脆弱性を補う魅力がある。

しかし理屈の美しさと実装可能性は別物である。米国が最重要資産と位置付ける Intel を外国資本が握る道は、政治と規制の二重壁に阻まれる。U.S. Steel の前例が示したように、政治判断で覆ることがある。独禁面でも、ARM の中立性とオープンなライセンスに疑念が生じるだけで反発は必至だ。業界各社は ARM を共通基盤と見なしており、特定グループの利益に偏る統合には強く反対するだろう。財務面の負荷、製造事業の運営という経営難度も加わる。よって、フル買収は現実解たり得ない。

実務的な代替路線

フルコントロールが閉ざされるなら、選択肢は分散する。特定事業の資本参加、共同設計、長期製造契約、国内外コンソーシアムの組成。ARM はサブシステム提供と共同最適化で存在感を高め、Ampere や Graphcore は製品を持ち込み、Rapidus や海外ファウンドリと複線的に製造能力を確保する。完全支配ではなく、仕様と資本と電力をつなぐハブとしての振る舞いを強化することが、SoftBank らしい現実解だ。

問題提起の再点検

US スチール型の政治阻止は十分にあり得る。半導体にまたがる越境投資は安全保障や産業政策の射程に入り、議会や労組、州政府の利害が絡む。独禁リスクも顕在だ。ARM の中立性が疑われれば、Apple や Qualcomm、Microsoft、Amazon、Google、さらには Nvidia まで、各国当局に働きかけるだろう。既存プレイヤーとの衝突も避けがたい。Nvidia は CPU と GPU の両輪で自立を強め、Apple は自社 SoC の戦略に直結する ARM の進路を注視している。衝突回避の現実解は、広範なステークホルダーに配当可能なインセンティブ設計と、ライセンスの透明性担保である。

日本政府の動きと接点

SBI によるメモリ構想は、PSMC 案の頓挫を経て SK 陣営との連携模索へと重心を移した。補助金枠組みは維持され、国内にメモリ能力を戻す探索が続く。ここに PFN のような国内 AI ベンチャーが連なると、AI 向けメモリ需要を起点にした生態系が生まれる可能性がある。並行して Rapidus は 2nm ロジックの量産を目指し、Tenstorrent との協業でエッジ AI 需要を取り込もうとしている。SoftBank は出資者として関与し、ARM や Ampere の設計を国内製造に接続する選択肢を持つ。国家の資本と民間の資本が相互補完する構図が、SoftBank にとってもリスク分散と政策整合の手段になる。

NVIDIA や Apple との関係管理

Nvidia とは協調と競合が併走する。国内 AI インフラや 5G 連携では協業しつつ、グループ内の AI チップ育成や ARM の深耕は、長期的に市場の力学を変える可能性がある。Apple については、ARM の中立性とライセンスの安定性が最重要の関心事だ。ARM が特定アーキテクチャや特定顧客に偏る印象を与えれば、関係は一気に冷える。したがって、ソフトウェアツールチェーンの開放性、ロードマップの公開性、差別化と中立性の両立が鍵になる。

それでも残る問い

買収は現実的でないとしても、なぜこの観測が繰り返し浮上するのか。答えは単純で、AI 時代の価値モデルが計算能力資源と電力と資本の連結に移行したからである。CPU の二大陣営、先端ファブ、AI アクセラレータ、メモリ、インターコネクト、クラウド、そして生成 AI プラットフォーム。これらを統べる者が次の 10 年を決める。SoftBank は資本と IP と顧客接点を持つが、決定的に不足するのは製造と電力の専有的アクセスである。だからこそ Intel が視野に入る。しかし視野に入ることと、手に入ることは別である。

結論

仮に SoftBank が Intel を丸ごと手にする道が閉ざされているとしても、分散的な連携で同等の機能を構築する道は残る。重要なのは、どの電力で、どの製造で、どのアーキテクチャを、どの資本構成で束ねるかという設計だ。買収という単発のイベントではなく、制度と資本と技術を通底させる設計力が試されている。数年後に振り返るとき、今日の観測が単なる噂ではなく、計算能力主義の時代における権力の再配置を先取りした思考実験だったと分かるかもしれない。

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雑記

ソフトバンクビジョンファンドに関するまとめ

最近 WeWork の動向からも注目されているソフトバンクのビジョンファンドですが、2018年2月に公表されている内部のビジネスモデルと会計処理についての資料を改めて見て、理解を深めたいと思います。

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韓国のビットコイン取引所 Korbit が SoftBank 系 VC から $3M を調達

韓国の Korbit は、ビットコインの取引所を中心に様々な関連製品を提供しています。その Korbit が、韓国の SoftBank 関連 VC から資金調達をしました。

Korbit has announced a $3m Series A funding round, led by Softbank’s VC arm Softbank Ventures Korea.

発表されている金額は $3M です。日本円では、おおよそ3億円になります。

The first bitcoin-to-Korean Won exchange, Korbit had previously received a seed funding round of $400,000 in January, which brought its funding total at the time to $600,000 in angel investing overall. Although it offers an English-language version of its website, Korbit’s services are targeted at the Korean domestic market.

韓国のウォンで取引ができる取引所として、韓国市場にフォーカスして拡大を目指す方針とのことです。2014年1月にもシードラウンドの資金調達を実行し、トータルで $600,000 を集めていました。日本円では約6,000万円です。今回の調達金額もあわせて、さらなる事業拡大を目指します。
今回、SoftBank が出資したことは非常に良いニュースです。韓国に限らず、日本でもこのような事例が起こる可能性は十分にあります。
中国と比較すると、日本や韓国のビットコイン関連スタートアップはこれまであまり目立っていませんでした。しかし、2014年の下半期に入ってからは、注目に値する製品やスタートアップが登場しています。東アジア全体で、ビットコインが盛り上がる準備が整ったとも言えます。

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雑記

予想GUY!iPhone 発売イベント at ヨドバシカメラ梅田

いまヨドバシでこれ書いてます。ついにやってきました。iPhone が日本で発売される歴史的日です。当日に買えない僕が来ましたよー。

たまたま12時前にヨドバシの近くを通ったので、イベントをやっているはずだと思い立ち寄ってみました。

するとかなりの報道陣。しばらく見て帰ろうかと思ったら、予想GUY の Dante Carver が登場。これからみんなでカウントダウンをすると言うではないか。

歴史的な瞬間へ向けたカウントダウンの様子はこちら。

なんか、日米の温度差を感じました。しゃべってるのも、叫んで反応してるのも、カウントダウンしてるのも、司会+ヨドバシの中の人だけ。僕も1人で行ったからしずかに見てましたよー。

あと、副社長もいました。何の副社長かは不明。おそらくソフトバンクモバイルの副社長。

当然ながら当日の整理券はもう無し。ヨドバシで明日買える分の整理券をもらえたのですが、8GB Black しか無いとのことなので、今日の所はスルー。来週になると思いますが、密かに押さえてもらっている 16GB Bkack を買いに行きます。

関西のみなさん、今日の夕方のニュースは見ましょう。そして、オレンジのTシャツにサングラスの男が群衆の中にいれば、それは僕です。

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