先日、Fastly で障害が発生して、インターネットが死ぬ瞬間が垣間見えました。
知られざる企業と、記事に出ています。上場会社で重要性もトップクラスであるにもかかわらず、社名が記事に出ないあたり、CDN の重要性や位置づけが一般に理解されていないことが読み取れます。
CDN は要約して言えば、大容量で大量のコンテンツを配信する際に、ユーザーが高速にストレスなくダウンロードし閲覧できるように、世界各地にデータのコピーを配置してくれるサービスです。いちいちアメリカのサーバーから日本の端末にデータをダウンロードするより、データ自体に変更が無いことが確認できたのであれば、最寄りのサーバーから受け取った方が早い、ということです。
そんな CDN が落ちたことで多くの Web サイトにアクセスできないという状態になった、というだけのシンプルな事故なのですが、あまりにも影響が広範囲に渡りました。実際、Twitter ではその時トレンドに落ちたサイトの名前が次々と入りました。
個人的には、Amazon が落ちたことが一番衝撃でした。あの Amazon が落ちたということも興味深いのですが、それ以上に、Amazon が Faslty に依存していたという事が衝撃でした。
Amazon といえば、AWS によって世界のサーバーインフラを寡占支配している企業の一角です。それほどサーバー周りのインフラに強みを持つ企業が、CDN の構成に関しては Fastly にも依存したいたわけです。これは業界の常識だったのかもしれませんが、僕はそうは考えていませんでした。てっきり、自前ですべてを用意しているものだと思っていたからです。
AWS に障害が発生し、そのせいて各種サービスがダウンするという話は度々聞くし遭遇しますが、Amazon 本体が外部の影響を受けてダウンするというのは、大変にめずらしいことだと思います。
この事態が意味することは、Fastly が強いということです。力関係で言えば、AWS の巨大さは絶対かもしれません。それでも、このような依存関係が生まれている時点で、Fastly のもつ強みが強調されました。そこには AWS とは異なった、ユニークさがあるということです。
しかしながら Aazon は偉大で、即座に独自の CDN に切り替え、いち早く復旧を果たしました。Amazon の視点で見れば、自社のインフラに完璧を求めず、きちんと障害発生時のリスクを軽減する多重構成を考えており、他社を使う選択肢まで実装済みだったということです。
東京では山手線が停電で止まるということも最近起こりましたが、何事も障害発生の瞬間にその価値が顕になります。そして復旧の過程で、依存関係の詳細や構成が外部にも認識されます。そうやって、インフラというものは強くなっていくのでしょう。