後の時代には笑い話かもしれないですが、2021年6月の今、日本ではオリンピックの開催が迫って話題となっています。特に開催地である東京では、非日常に非日常を掛け合わせる事態となり、多くの混乱を生んでいます。
未来にこの話を読んでいる人にも分かるように説明すると、今はコロナ禍で緊急事態宣言が発令中です。ワクチン接種率は総人口の10%強という状況です。オリンピック開催まで、1ヶ月と少ししかありません。この状況でオリンピックを開催することに日本人が不安を感じるのは当然でしょう。開催を歓迎している人は少数派ではないでしょうか。
開催をする理由はシンプルに、IOC との契約で止められないからだと言われています。それが本当かどうかは知る方法が無いわけですが、公開されている契約条件からして、この段階ではもう経済的理由で辞められないことは明らかです。今となっては、そもそもオリンピックをやろうとしたことが過ちであったと言わざるを得ない状況です。もちろんこんな事態になるなど誰にも予想ができなかったことであり、想定の範囲外も良いところなのですが、契約時に最悪のシナリオを想定することの重要性を日本が世界に示してくれたと言えるほど悲惨な状態です。
今回はコロナ禍という特殊な事情と、契約の残酷さによって問題が膨れ上がっていますが、一旦冷静にオリンピックの価値については考え直すタイミングかもしれません。よく考えてみたら、そもそもオリンピックの役割というか、意義というのはもう成り立たないのかもしれません。
現在は、多様性を良しとする時代です。何事も多様化が進み、これまでの非常識も常識として受け入れることが重要視され、マイノリティーも声を上げる機会を得始めています。でもまだそれは完成しているわけではありません。SDGs にも組み込まれているのがその証拠です。全人類が、全世界が取り組むべき課題と認識され始めた段階です。
ここで考えてみます。この先、この課題が徐々に回答を見出す過程において、オリンピックは成り立つのでしょうか。性別の多様性、国家の多様性を考えたとき、いまのオリンピックの枠組みは成り立つと考えるほうが難しいです。男女の定義は何なのでしょうか。国の定義は何なのでしょうか。国家としてオリンピックをボイコットしようとかそんな発想もまだ残っている現代ですが、そんなナショナリズムの暴走は何年先まで成り立つのでしょうか。
また、テクノロジーの進化を考えれば、富める国の進化は加速度的に増していくことになります。その果にサイボーグ化に近い進化が起こることも考えておくべきです。実際、水着や靴によって記録が圧倒的に伸びて使用に制限がかかることがありましたが、これ以上技術が進んだ場合、規則で縛ることも難しいかもしれません。薬物によるドーピングはだめだとしても、では遺伝子操作はどうなのでしょうか。パラリンピックとオリンピックの差も、きっと無くなるのでしょう。
このように理由はいろいろありますが、要するにオリンピックが成り立つと考えるほうが無理だと思っています。人々に希望を与えるアスリートにとっての活躍の場、商業的にも成功するための機会、そして明確な目標は必要だと思いますが、それがオリンピックというフォーマットに収まり続ける必要は無いはずです。
まず、コロナ禍でオリンピックを強行することに至った IOC の考え方や対応に、納得はできません。それを甘んじて受け入れている日本政府及び東京都の対応にも、賛同できません。
次に、オリンピックというフォーマットは近いうちに崩壊するとしか考えられず、そのきっかけとして少しでも早く No を発信するべきだと考えます。
以上の理由により、オリンピックをもう見ないという判断をするべきではないかと考えています。
アスリートを応援しないわけではありません。個々人のアスリートへのリスペクトは忘れるべきではありませんし、変わらず応援します。しかし、どこの国がいくつメダルを取ったかかは、どうでも良いことです。また、それがオリンピックというフォーマットに縛られることには、不信感しか抱けません。
商業としての生き残りをかけた挑戦がこれからも続くのだと思いますが、テレビで見るのを止め、スポンサーの揺動に乗らないことで、明確な No を発信することはできます。
東京オリンピックでは、きっと日本選手がたくさん活躍するでしょう。圧倒的にホームに有利な展開ですし、メディアもやるからには視聴率を稼ぐために揺動するでしょう。だからきっと、成功したと言われるほどに盛り上がるでしょう。やってよかったとなるのかもしれません。
けど、どう考えても、そんなことよりもひとりでも多くの人の命を優先した判断をするべきであると考えます。だから、この先どれだけ盛り上がったとしても、自分自身の視点が変わらないようにしたいと思っています。その記録のために、開催前の今これを記しています。
これまで、子供の頃から、オリンピックが大好きでした。毎回、夏も冬も、テレビで見ていました。感動しました。今まで、ありがとうございました。
「さよならオリンピック」への1件の返信
[…] これではいけないと、ある日思いました。圧倒的な関心の低下は良くないと言われるからです。心身の問題ではないかと思うこともあります。そうして、あえて小説とかを読んでみようかなと思い立つのですが、そんな状態で本を開くまで進むわけもありません。とりあえず開いてみた Netflix は、何を観るでもなく、観るものを選んでいるうちに食事も終わるわけです。この状態を良しとしないで、スポーツや小説、映画などは、挑戦してみようとしています。ただしオリンピックはもう観ないと決めましたし、何が良いのかわかりません。それを調べるところから始めようかなと今は思っています。 […]