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雑記

コンテンツ配信プラットフォームの課題と可能性

コンテンツ配信プラットーフォームは、移り変わりながらも常にインターネットに無数の意見を引き込んでいます。
個人的には思うところがありますが、日本では Note が話題となっています。英語圏では、WordPress や Medium が引き続き使われています。また、掲示板形式というかみんなが自由に書き込みをするプラットフォームとしては、日本では 2ch/5ch が失速して Twitter に統合され、英語圏では引き続き Reddit も健在です。
ブロックチェーンの要素を加えたものとしては、Steemit が元祖でした。

コンテンツ配信プラットフォームの存在価値は、個人の情報発信の加速や、有料コンテンツ販売の市場拡大もあり、利用が増えています。さらに、Twitter や Clubhouse では、長年夢見られた投げ銭的な機能が試みられています。
その中で、ブロックチェーン系のサービスは、規制とも戦いながら様々な進化を遂げています。

少し前に Steemit のその後が気になって調べてみたのですが、現状は以下のような感じになっているようです。

そもそもの前提を説明すると、Steemit は、コンテンツ配信プラットフォームとして先行している Reddit に、経済的インセンティブを付与したサービスと呼ぶことができます。独自の、コンテンツ配信に特化したブロックチェーン Steem を展開しており、その上でコンテンツ配信プラットフォームが動いています。若干混乱を生みますが、そのコンテンツ配信プラットフォーム部分が、Steemit と呼ばれています。

特徴は、複数のトークンを発行し、ユーザーの行動にインセンティブ設計をしている点です。主に3種類のトークンがあります。
まず STEEM トークンは、コンテンツの発信や、流れているコンテンツに対する拡散行為、キュレーションをすること獲得できるトークンです。運営主体である Steemit Inc. が発行しており、発行上限が無い設計となっています。次に Steam Power トークンは、STEEM トークンを長期保有する人に付与されるトークンとして発行されています。通称 SP です。SP を保有する事で、コンテンツ配信プラットフォーム Steemit においての、その所有者の重要度が上がります。SP をたくさんもっていたら、多くの STEEM を稼ぐ事ができるようになります。さらに、SP を持ち続ける事で、追加で SP を獲得できるようになります。ただし、SP 自体の売買はできません。STEEM から SP への交換や、SP から STEEM への交換はできます。ちなみに、SP から STEEM への交換には13週間のベスティング条件が設けられているため、頻繁に行き来することはできません。最後に Steam Dollars トークンがあります。通称 SBD です。これは Stablecoin として機能するもので、常に $1 とペグされています。STEEM の価値を利確するような場面で利用するものです。他の通貨経済圏に移動せずに、STEEM 内部で価値を保存できるようになっています。

この設計を簡単に見渡してもわかる通り、相当に気合の入った設計がなされていました。だからといって一般に普及したかというと、そんな結果にはならず、この美しくも複雑な設計はのちに登場するプロダクトに影響を与えました。

これまでの経緯と、現状については一層興味をひきます。
もともと ICO によって大型の資金調達を行なったことで知られるようになったプロジェクトでしたが、思想設計としては、トークンの所有者=サービスの利用者となる前提があり、まさにトークンエコノミクスの実現を夢みた理想的な船出だったと思います。ところが、その後 CTO が退任し、仮想通貨価格も下落していき、経営不振に陥ります。そして 70% の従業員を解雇する状態にまでなりました。
そして2020年2月には、Tron による Steemit Inc. の買収が行われました。この展開が状況を変えます。コンテンツ配信プラットフォーム Steemit と STEEM トークンが Tron のブロックチェーン上に移行すると発表され、議論を呼んだのです。Steemit のコミュニティーと Tron との間で、対立が発生しました。それもそのはずです。非中央集権のユーザー中心のコンテンツプラットフォームやその資産が、丸ごと当初の計画とは違う母体に吸収されるわけなので、Tron の影響力を心配する人が出てくるのは当然です。結果、仮想通貨、ブロックチェーン界隈では対立時に発生するお決まりの儀式が行われたのです。ハードフォークです。ハードフォークによって、コミュニティー側は Steemit 社が保有する STEEM の投票権を凍結し、事実上 Tron の影響力を排除しようとしたのです。対する Tron も、Binance や Houbi などのトークン大口保有をしている取引所と連動し、反発しました。しかし、取引所は中立を維持すべきという考え方から、対立を煽る判断を破棄したのです。こういう流れで、結局 Steem はハードフォークしました。Steem を継承したブロックチェーンは、その名称を HIVE に変えています。そして Steemit の保有分を排除した残りの STEEM トークンは、HIVE に移行しました。
ちなみに、Reddit はこの裏側で独自のトークン発行によるインセンティブ設計を計画し実験しています。

この展開から学べることは、ブロックチェーンの強さと、弱さです。選択肢が双方にあるのは、諸刃の刃です。それは対立時に双方に意見する力を与えるという意味において民主的であり未来的であるのですが、いざ対立が激化すると、コミュニティーの分断を加速させる脆さにつながります。分断の果てに、双方ともに痛手を被り、さらなる混乱と分断を巻き起こします。そうして、そのコミュニティー全体が、ハッシュパワーが、シュリンクしてしまうのです。これは、ビットコインの分断でも起きたことであり、今も各所で起き続けていることです。今後も引き続き、よりベターな解決策は模索していくべきです。ブロックチェーンエコシステム全体の共有する課題と言えます。

期待することについて述べれば、やはり今後の NFT との融合でしょう。コンテンツ配信とブロックチェーンの文脈では、NFT がその真価を発揮することが予想されます。どのような融合が見られるのか、楽しみです。

「コンテンツ配信プラットフォームの課題と可能性」への2件の返信

[…] Steemit のこれまでの経緯を見ていて、気付いたことをまとめました。インターネット上でプロダクトを広めるにあたって、学べる事として抽出しています。特に、コンテンツ配信プラットフォームが必ず必要とする、オンラインでのコミュニティー作りに主眼をおいています。ユーザーを多く獲得するために、それはもはや不可欠です。ユーザー同士のつながりの結果、またはユーザーの集合体、あるいは所属先となるコミュニティーの育て方についてです。 […]

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