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雑記

今でも信じている文書を構造化する必要性と Note の裏切り

文書の構造化は大事だと思っています。文書の見出しや引用箇所など、それがそうだと読む人間にも、解釈するソフトウェアにも、わかりやすくするべきだと思っています。

本来は人間とソフトウェア、双方にとってわかりやすいものを見出す歩み寄りとして、文書の構造化のルールがすすめられていたのだと認識していますが、最近はその流れが変わったように思います。

ソフトウェアを書く人間としても、あるいは HTML でマークアップをこれでもかと言うほどしてきた世代の者としても、文書の構造を正し、それに対して装飾を施すという考え方が染み付いています。人間に対するわかりやすさと、ソフトウェアが読み取る際のわかりやすさを常に意識するからです。そうやって、セマンティックウェブの理想に従い、構造や意味合いを示すメタデータを当たり前のように埋め込む覚悟をもっていました。

それが重労働であったことに違いはありません。近年では、Markdown の普及によって、多少なりとも楽になったものでした。Markdown のおかげで、様々な場面で構造化を意識した記述ができるようになっています。
ところが、それは良いことばかりではありません。Markdown には事実上統一された仕様が無く、多数の派生を生み出し現在に至っています。最近であれば Google Document も Evernote も Slack も、ある程度の Markdown による記述が可能になっていますが、それは単なる装飾のショートカットのような使われ方になってしまっています。文書の構造を適切に残せない、移植しづらい、中途半端な成果物を吐き出します。

そこに、Note が現れました。Note は、シンプルに深く考えずに、文章を書くことに集中できる場所として設計されています。読む方に対しても、それは同じです。シンプルに、ただただ読みやすいようにしてあります。
それはつまり、書く際の負担を極限まで下げることで実現しているわけです。構造や装飾を意識しないで、ただ書くことだけを後押ししてきます。文章に対して構造化し意味付けをするという、ソフトウェアに対する歩み寄りを放棄しているのです。人間とソフトウェアの関係性を構築してきた従来の Web のあり方からは、逆行しているように見えます。

本来、文章を書いた人間自身が、ソフトウェアのために、タグによって最適な意味付けをしてやらなければならなかったはずです。Note においては、そんな事は後でいかようにもソフトウェアが解析してくれますよと言わんばかりに、完全に無視をしています。つまり、文章を書く人間が余計な事を考えなくても、ソフトウェアでうまい具合にやっておきますよという意味です。Markdown が使えないのは当然で、リストもそもそも書けません。「・」記号と引用符装飾で、リストっぽく見せますと公式見解を出していました。衝撃でした。

これは良く解釈すれば、間違いなく新しい方向性です。ソフトウェアの本来あるべき姿です。そもそも人間に負担をかけ過ぎたこれまでが間違っているのです。
しかし同時に、今現在のソフトウェアの言語解析の性能をまだ信じられていない旧世代のテクノロジーで育った僕としては、ものすごく気持ちの悪い感じがします。そのような場では、全く書く気が起こらないのです。

この、旧世代のテクノロジーで育った人間が絶対に使いたくないという感覚は、新しいソフトウェアとして、その結果生み出されるプロダクトとして、素晴らしく良いことだと思います。いつまでも旧世代の求めていることに対応していたのでは、新しい市場は切り開けません。だからこそ、こういう風に、自分が絶対に使いたくないと心底思うものものについてこそ、評価すべきだと思います。それらこそが、これからの世に必要とされるものであり、ギーク以外に求められるものであり、本来目指すべきものなのではないでしょうか。
実際、SEO において結果を示しているあたり、製品として優れている証拠です。

とは言え、この裏切りは受け入れるにはまだ時間が掛かりそうです。やっぱり、使いたいとは思えないのでした。

「今でも信じている文書を構造化する必要性と Note の裏切り」への2件の返信

[…] コンテンツ配信プラットーフォームは、移り変わりながらも常にインターネットに無数の意見を引き込んでいます。個人的には思うところがありますが、日本では Note が話題となっています。英語圏では、WordPress や Medium が引き続き使われています。また、掲示板形式というかみんなが自由に書き込みをするプラットフォームとしては、日本では 2ch/5ch が失速して Twitter に統合され、英語圏では引き続き Reddit も健在です。ブロックチェーンの要素を加えたものとしては、Steemit が元祖でした。 […]

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