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雑記

Stablecoin は普及するのか

StableCoin(ステーブルコイン)は、今後の主要な産業要素に拡大すると捉えています。ただし、勢力の拡大には発行体の信用が必須要素となるため、特定の通貨が市場を独占するようなことにはならないと思っています。運営主体の形態から大きく3つに分けて認識していますが、それぞれに課題があります。

まず、Startup が主導して進める形態があります。この場合は、その信用力で運用が難航するという問題があります。特に立ち上がり時期に、どこまで市場の信頼を得られるかということは難しい問題です。しかしそれを乗り越えなければ広まることもないため、後発となる場合は特にその戦略が重要になります。USDT の Tether は実際、発行体が信用を獲得し続けることがいかに難しいかを示してくれました。時流に乗り勢いよくスタートを切り、信頼の高い仮想通貨(暗号資産)取引所での取り扱いを経て地位を築いても、自らそのガバナンスの難しさとリスクを露呈してしまいました。

オープンソースコミュニティー主導で、分散型での運用を進めるアプローチもあります。その場合、多くのオープンソースプロジェクトがそうであるように、提唱された方針に対するソフトウェアの実装やアルゴリズムへの信頼が欠かせないわけですが、普通の人がそんなものを理解できるはずもなく、ただただ責任の所在が不明というポジションに行きがちです。DAI の MakerDao も、価格の急変をきっかけに起きたアルゴリズムの暴走で、その運用の難しさを示しました。まだまだ未開拓な分野であり、実験段階という見方をすべきではありますが、将来有望なプロジェクトなだけに、今後の立て直しや信頼の獲得に期待をしたいです。

最後に、大手企業が主導するのがあります。分散型であるべき、そして非中央集権形態であるべきクリプトカレンシーの理念からは遠ざかりますが、人々からの信用面でも規制対応面でも、普及に関しては1番可能性があります。誰が作ったかわからないものより、自律運用されているものより、自己責任で無政府的で破壊的であることより、やっぱり安心安全の通貨が一番だということです。Stablecoin ともなれば特にそうです。少なくとも現状の社会環境においては、それは間違いありません。
しかしそんな有望な大手企業主導のアプローチでも、難題はあります。この分野で挑戦を表明している Facebook にしても GMO にしても、上場企業が背景にいるということは、その進め方において慎重にならざるを得ず、政府との調整と言う形でやはり時間がかかりますし、Libra がそうであるように難航します。

現時点で実用化と普及があり得そうな物は、デジタル人民元や 銀行系コインのような、国家や銀行主導の通貨でしょうか。それらがクリプトカレンシーの定義に定まるかどうか、あるいはブロックチェーン上で公正に機能するかどうかは判断が難しいです。思想を抜きにして考えれば、利用者にとってそれは全くどうでも良いことではあるので、いわゆる通貨のデジタル化という大枠で考えるべき事なのでしょう。

ステーブルコインの市場規模はこれからどんどん拡大し、重要性が増すと考えます。しかし、その信用を担保できるほどの母体がなければ、技術的にどれだけ優れていても、既存の事業でどれほど利益を出していても、普及させるまでには至らないというのが現状です。そして母体が既存の経済圏で大きな存在であればあるほど、今度は規制との折り合いや既存事業との利害関係で動きが鈍くなります。難しい問題です。

というわけで、Stablecoin 自体はまだまだこれからの分野というのが今の結論です。それはつまり、方向性としてはそちらで合っているが、実現のためにはまだまだ不足しているものが多くあるということです。
そんな中で今自分が1番重要視しているのは、ステーブルコインの原資となる暗号資産の確保です。かつてのドルに対する金のような、信用の根拠を提供することの必要性が増すと考えています。

端的に言えば、マイニングやステーキングもそれに相当するのですが、ステーブルコインを発行する際に必要となる裏付けとして 既存の暗号資産を組み入れたい大手企業は、これから計算能力や現物を必要とするでしょう。

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