カテゴリー
雑記

ステーブルコインの将来性と各陣営の違い

基軸通貨との交換価値を固定したステーブルコインは、次の10年の世界の発展、経済の成長、ビジネスの展開を考えると避けては通れない技術です。現在の社会システムから来るべき新たな経済システムへの移行期間と考えると、ビットコインよりも実生活へのインパクトは大きくなるものと個人的には考えています。

これまでのところ、USDT が最も知られており、それに続く存在としては MakerDao(DAI)があります。
日本でも、GMO が GMOYEN の構想を打ち立てており、注目が集まりました。また、日本のブロックチェーン技術推進協会である BCCC からも、ZEN という日本円に価値を固定した通貨の開発が発表されていました。しかし、どちらも昨年の仮想通貨暴落の流れの中で目立った発展がなく、現状どうなっているのかは外部からは見えません。

そうこうしているうちに、Facebook が Libra の構想を発表しました。Libra は、その構想の中で、明らかに世界中の金融経済から隔離されている大多数の層に対して、ステーブルコインを提供することと、それによって新たな経済圏を構築することを表明しています。

今世の中で実質的に使われている、使われる可能性があるステーブルコインとしては、まず USDT です。そして次に、各国の規制の関係もありますが、Libra が来ると想像できます。

DAI については特殊な状況があります。前提としてなのですが、USDT は大きな不祥事によって注目を浴びた過去(というか現在進行形の事象)があります。それは、企業としてステーブルコインを運営する際の難しい問題を表しています。詳細は別の機会に譲りますが、簡単に言えば、USDT が USD(アメリカドル)と価値を連動させるために、USDT 発行元の Tether 社がビットコインの価格操作とも言える取引をしていたことや、USDT と交換可能な USD を十分に持っていなかったことなどが問題となったのです。
そこで DAI を発行している MakerDAO は、DAO として、つまり企業としてではなく、ステーブルコインを発行するという方向で動いています。しかしそれはそれで難しい課題があります。各国の規制に対する窓口が存在しなかったり、十分にマーケティングするインセンティブが働きにくかったりするため、思想として共感する人たちが使う狭い範囲のテクノロジーとして捉えられてしまうのです。誕生した頃のビットコインのようです。そんな訳で、ステーブルコインの商業的価値や可能性を本気で追及する営利企業がバックにいるプロジェクトと競合することは現段階では難しいし、また、ステーブルコインの市場拡大に伴って脅威を感じている各国政府の規制に対応できないという問題が残り続けるのです。特に EU 圏では、フランスとドイツが Libra 登場に際して懸念を表明しています。
僕も MakerDAO は個人的にも応援しています。将来性があります。しかし同時に、現在の社会システムというルールの上では、拡大するための経済的インセンティブがあまり働かなかったり、規制対策が後手に回ることが致命的であるという認識もしています。これはステーブルコイン故の悩みです。ビットコインや ETH のようにその通貨の価値が上がるというインセンティブがありませんので、どこに魅力を感じるかと言えば、そのテクノロジーが広まった際のなんらかのビジネスモデルであったり、あとは思想的な共感であったりします。人類社会はまだ残念ながら、その水準には達していないです。

日本勢はどうでしょうか。SBI が力を入れている XRP もあります。XRP はステーブルコインというわけではありませんが、金融機関の取引など限定した市場ではそれに近い位置を狙えるのだと思います。ですが、一般向けの性質があるものではありません。
Libra に一気に市場を持って行かれないようにするために、日本の大手がステーブルコインの技術を持つ会社を買収したり、大型の資本注入をすることがあるかもしれません。何れにせよ、Libra 陣営はそのバックにいる企業群を見る限り、USD 市場から来た本気の集団です。ステーブルコイン経済圏において、果たして JPY は価値を維持できるのでしょうか?

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください