カテゴリー
雑記

GMO コインの IEO で起こった悲劇

これは相当ひどいことだと思うのですが、影響を受けた人の数が(Luna に比べて)少ないためか、あまり話題になっているようには見えません。

経緯は Twitter にもたくさんまとめられていますが、要するに以下の通りです。

  1. サッカーチームが IEO で資金調達を開始
  2. 抽選で希望者にトークンを販売
  3. 上場後大量保有した人たちが一気に売却開始
  4. 取引所側が予告なく取引上限を設定
  5. 最大枠まで購入していた購入者は暴落を傍観
  6. さらに取引所側がひっそりと取引制限を解除
  7. 暴落が加速

なんとも見事に、ダメなことが起きたようです。なぜ上場当日に下がると思わなかったのか、事前に取引制限を告知した上で販売をしなかったのか、市場価格を維持する対応をしなかったのか、疑問がつきません。

そしてこれが公式発表の tweet で、そこにぶら下がってクレームが投稿されています。

怒っている人たちはプロのトレーダーが多いためか、自己責任の原則を弁えて、静かに GMO コイン及び日本の IEO から去っていったように見えます。大衆を相手に大問題に発展することは企業として痛手であることは間違いありませんが、実はこれってそれ以上に深刻な影響をあたえるのではないでしょうか。もう日本の仮想通貨市場にはいよいよ人が残らなくなりましたね。

戦略として、あまり仮想通貨や金融取引に詳しくない一般層に対して、高いスプレッドを設定して販売をしていく方針を採用しているのであれば、間違っていないのかもしれません。これが問題と思わない層、この問題に気づかなかった人たちは顧客として残るでしょう。そういう経営判断なのだろうと思います。実際、それが今日本の仮想通貨取引所では一番儲かる事業モデルになっています。

これは推測ですが、IEO を企画、設計した人たちと、販売を推奨していた取引所の方で、認識が統一されていなかったのではないでしょうか。いわゆる縦割りの弊害が起きたように僕には見えました。

企画した人たちからしたら、クラウドファンディングの要領で、応援したいチームを盛り上げようと必死だったのでしょう。ファンを獲得できるように、新たな収益のモデルを持たせようと、仮想通貨の魅力を最大限に組み込んで、トークンにしかできないような可能性のあるビジネスモデルやファイナンスのモデルを考えたのでしょう。その考えの範囲では、ファンが集まる前提であって、まさか全力で上場初日に売って利益を狙う人ばかりが集まるとは想像できなかったのかもしれません。あるいは暴落することで真のファンが残るようにし、かつ新規の本当のファンの参入障壁を下げることを意図したのかもしれません。

一方で、取引所の側は、当日の暴落は想定の範囲内であったはずですが、クラウドファンディング的要素もあるものなので、制約を設けない方針を採用し、本来求める顧客層への普及を優先したのではないでしょうか。念のため準備していた対策を状況を見ながら導入したため、二転三転した印象を与えてしまったのは、混乱を表しています。

経緯はわかりませんが、要するに IEO を企画しチーム等を応援する事業のモデルは、プロのトレーダーお断りのクラウドファンディング要素の強いものであるという考えはわかりました。それはそれで正しいと思います。残念なのはただ、結果的に意図しないプロトレーダーを巻き込んだことで、チームへの批判に飛び火し、本来の目的であったファンの獲得からかけ離れた結果が出てしまったことです。

今回の件は、日本国内の閉鎖的な環境が前提としてあったため、結果として被害が拡大しませんでした。世に知れ渡りませんでした。皮肉なものです。このレベルの事故が起こるぐらいなら、日本市場に限定して問題が起きてもうやむやにできる方が儲かりそうです。

コメントを残すコメントをキャンセル

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください