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仮想通貨 用語解説

ファイナリティ

ファイナリティという言葉は、ブロックチェーン用語ではありません。ですが、ブロックチェーンのユースケースとして重要な決済の機能を理解するために必要となる概念です。

端的に意味合いを説明すれば、決済が完了して取り消しが出来ない状態のこと、です。
ファイナリティを意識することで、決済システムに求められる能力への理解が深まります。

顧客がクレジットカードで商品の代金を支払う場合を考えてみます。
顧客がクレジットカードを端末に入れても、その瞬間に決済が完了して、受け取り手となるお店側に価値が渡るわけではありません。決められた期日に、クレジットカード決済会社からお金が払い込まれてはじめて、決済が完了します。
ここでは、決済会社が約束通りに払い込んでくれるかどうかがまず不確かです。払い込まれる前に、決済会社が倒産して売上金が消滅したり、システムトラブルでデータが消えることがあるかもしれません。そのため、この段階ではファイナリティが得られていません。
また、払込の期日が早ければ早いほうが、お店は資金繰りが良くなります。手間とリスクのトレードオフになりますが、理想的には顧客が決済をした瞬間に、お店にお金が届けられたほうが良いに決まっています。

ファイナリティが得られ、決済が完了するためには、顧客が実行した決済が取り消されないことも重要です。カードの例であれば、代金をカードで支払った顧客が、決済会社に意義を申し立てて、お金を返却してもらうかもしれません。そうなれば、決済が覆って、無かったことに出来てしまいます。
つまり、決済においてファイナリティが得られるかどうかは、大変重要だということです。

店舗での決済ですらこれほどの難関が立ちはだかっていますので、金融機関同士の決済や、国際的な金融決済の場に用いられる決済システムを考える際には、より慎重なファイナリティの設計が求められます。

では、確実なファイナリティを得るにはどうすればよいでしょうか。

自国通貨建てで紙幣を使って決済を行った場合であれば、そのお金を受け取るまでの間に、紙幣の価値が無くなる事はありません。その場で手渡されますので、それが顧客に勝手に戻されることもありません。つまり、現金での対面決済は、常にファイナリティが得られています。
しかし一方で、現金のみの対応というのは対面決済が必須になりますし、ビジネスの幅を自ずと狭めることになります。

ブロックチェーン上の通貨、例えばビットコインで決済をする場合も、ファイナリティは当然重要になります。
ビットコインの場合であれば、決済直後に、当事者間のビットコインの送金そのものは瞬時に完了したように見えます。ウォレットアプリの実装上は、そのように UI が作られますので、送金側から BTC が減り、着金側の BTC が増えます。ですが、ファイナリティがそれで得られたというわけではありません。
実際には、マイニングによってブロックチェーンに取引記録が書き加えられ、一定以上の数の端末に分散記録されなければ、完了しているとは言えないのです。それは通常でも10分が必要な設計がされています。取引が活発になっている時であれば、もっと長い時間がかかってしまいます。
即座にファイナリティが得られない以上、ビットコイン単体での決済は難しいという結論になります。

ビットコインにおいては、どの段階でファイナリティが得られたかについては統一の見解が定められているわけではありません。ブロックチェーンの特性上、チェーンが長くなる(時間が経って取引記録の保存が次々と連なって加えられていく)と、改ざんや取り消しは難しくなっていきますので、一定数以上のブロックが生成された段階でファイナリティが事実上得られたと決めるしかありません。いくつのブロックを生成した段階でファイナリティが得られたと判断するかは、ブロックチェーンの特性を考慮した上で、決済事業者や取引所、ウォレットなどが仕様として定めるわけです。

加えて、ビットコインの場合、厳密には51%攻撃のように、ブロックチェーンを書き換えることが不可能ではありません。現実的ではありませんので、その可能性を考慮する必要があるかどうか議論の余地がありますが、原理上は記録が覆ることがありますし、そうなればビットコイン自体が無価値になります。

もちろんビットコインの関連技術、派生技術の中には、ファイナリティをより確実に迅速に得るためのものも存在しています。

「ファイナリティ」への1件の返信

[…] しかしブロックチェーンも完璧ではありません。ファイナリティを得るために時間がかかったり、維持管理コストが分散するため、維持管理に協力してくれる参加者へのインセンティブ設計が重要になったりします。ビットコインは、そこにうまい解決策を導入したことで、実用的になった事例です。 […]

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