主に日本で注目されているブロックチェーンである NEM と、その後継である Symbol について解説します。それぞれのブロックチェーン上での流通通貨である、XEM 及び XYM についても記載します。
通貨
- XEM
- 最大発行量: 8,999,999,999
- XYM
- 最大発行量: 8,999,999,999
NEM の特徴
NEM は、Bitcoin や Ethereum の影響を受けて開発されたブロックチェーンです。マルチシグの導入等、セキュリティー面の向上が意識されています。なお、言語は Java で実装されています。
NEM ではトークンを活用した様々なアプリケーションを開発できる特徴があり、トークンは Mozaic と呼ばれます。これまでは主に、ICO で利用されてきました。ICO プラットフォームとして自らも ICO をした COMSA が有名です。
特徴的なのは、コンセンサスアルゴリズムです。PoI(Proof-of-Importance)を採用しており、ブロックチェーンの維持に貢献するノードの重要度に応じて、報酬が付与されます。重要度は、保有する通貨量や取引の履歴で決まりますので、NEM の維持拡大に貢献する態度が評価された正当なノードほど多くの報酬をえられるように設計されています。この特徴ゆえ、単純な計算量による勝負となるマイニングとは異なり、NEM ではハーベスティング(ハーベスト)と呼ばれます。10,000 XEM 以上を保有している事が、ハーベストできるようになる条件のひとつです。また、特に重要な上位のノードは、supernode と呼ばれます。supernode はブロックチェーンの維持に重要度の高い役割と報酬が与えられます。
開発には、日本のブロックチェーン企業、テックビューロ株式会社が大きな役割を果たしてきました。オープンソースで開発されていた NEM の主要メンバーはテックビューロに参画し、以降も開発を続けていました。そして財団を作ったり、オープンソースに貢献したりと、コミュニティーの発展も成されました。
2021年の段階では、NEM Group Ltd. が設立されており、そこに様々な機能を集約しているようです。
テックビューロとの関係で注目すべきは、テックビューロが開発した独自のプライベートブロックチェーン、Mijin です。パブリックブロックチェーンの NEM と対応して、企業のユースケースに対応できるソリューションとして提供されています。
Mijin が開発され発展していく中で、NEM と共通する部分を進化させた、Catapult が開発されました。
Symbol とは
Catapult をベースに、NEM を進化させ誕生したのが Symbol です。つまり、Symbol は実質的に NEM の後継です。
Symbol の誕生で、以前からあるブロックチェーン NEM が消滅するわけではありません。Symbol は主にエンタープライズ用途を意図されており、様々な面で NEM とは異なります。Symbol は C++ で実装されており、既存の業務システムとの連携を考えた API が用意されています。それは、現実世界のビジネスに溶け込ませるために必要な相互運用性を重視しているからです。
強みは、プライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーンを組み合わせができることでしょう。導入する企業の側のセキュリティーを担保し、かつブロックチェーンの課題となるスケーラビリティーを向上させることができます。そして何より、企業利用で必須の要件となる情報の保護が実現できます。すべての情報が公開される前提となるパブリックブロックチェーンだけでは実現できない構成が可能になります。
Symbol の通貨が、XYM です。コンセンサスアルゴリズムは、NEM とは異なり PoS+(Proof-of-Stake Plus)と呼ばれるものが採用されています。一般的な PoS を改良したものとなっています。