仮想通貨の取引において、種類の違う仮想通貨を直接交換する事、あるいはその仕組みの事を意味します。
より厳密に言うと、異なるブロックチェーン間で、通貨の P2P トランザクション(直接取引)を実行する事です。
直接、というところが肝心です。
仮想通貨の取引として、他の通貨との交換をイメージしてください。交換の目的は仮想通貨のトレードであっても、決済であっても構いません。手持ちの通貨と、相手の持っている通貨が異なる場面で、取引所を介さずに直接交換をする事が、アトミックスワップです。
取引所を介さない、つまり仲介者を必要としないで取引を実現するため、高速です。手数料も最低限になります。
通常、直接取引を実行しようとしても、課題が山積みです。まず、見ず知らずの相手との取引では、相手を信用することが難しいです。持ち逃げされたり、騙されたりするかもしれません。ですが、その課題を技術的に解決する試みがなされています。
実際のアトミックスワップの流れは、大雑把に示すと次のようになります。2名で異なる通貨同士、直接交換をする場面を説明します。
- ひとり目が手持ちの仮想通貨を一時保管金庫の役割を果たすウォレットに預け入れる
- その金庫の鍵を持っているという証拠書を取引相手に伝える
- ふたり目は受け取った証明書を鍵として使って一時保管金庫の役割を果たすウォレットを作成してそこに手持ちの通貨を預け入れる
- するとひとり目の人は後から出来た金庫を開けてその中の通貨を取り出すことができる
- ふたり目はひとり目が解錠する時に鍵を手にするのでもう一方の金庫を開けてその中の通貨を取り出すことができる
このような流れが同時に実行され、取引の安全を保証します。
一連の流れは完全に同時に行われるか、あるいは行われずに時間切れとなります。時間切れの場合は、それぞれの金庫から元の持ち主に通貨が返却され、取引が無かったことになります。
通常は、同一のブロックチェーン上の通貨(同一の仮想通貨)同士しか直接交換はできません。他のブロックチェーン上の通貨と交換するためには、取引所に仲介してもらって売買(交換)をするか、自分で取引相手を探してきて価格の交渉や取引の手順の約束をする必要があります。
アトミックスワップが実現すれば、そこに新しく、早くて安くて安心な選択肢が誕生することになります。その結果、仮想通貨の流動性が向上し、利用できるシーンも増えます。
しかし現実的にはまだまだプライバシー面やセキュリティー面での課題があり、対応可能な通貨ペアにも制約があります。それでも、取引所に依存せずに交換ができる土壌ができれば、仮想通貨は真に自由になります。
仮想通貨に対する規制が強化される現状を考えると、大いに可能性を感じる技術です。