2021年9月、エルサルバドル事後の暴落について、記録を残します。あの日、エルサルバドルと並び注目を集めたのが、Coinbase の発表でした。
厳密には、Coinbase の CEO である Brian Armstrong の一連の Tweet がきっかけです。その発言の中で、SEC による事業への介入があったことを発表しました。詳細としてまとめられた公式見解はこちらのブログ記事にあります。
本件の要点は次の通りです。
- Coinbase が Lend という貸付サービスの開始を準備していた
- Lend は顧客の USDC を認証済みの借り手に貸し出す
- 顧客には年利4%の利回りを提供する
- 半年に及ぶ金融当局への事前の働きかけにも関わらずリリース直前に SEC が Lend を証券に分類した(いわゆる Howey テスト)
- その結果突然に SEC は Coinbase に「Wells Notice(ウェルズ通知)」を発行した
- 法的措置をチラつかせてきた
Coinbase が勝手に進めていたならまだわかりますが、事前に少なくとも半年間かけて説明を行ってきたにも関わらず、やりとりが途絶えて質問もなく、通知をしてきた点が問題に見えます。
顧客は Lend において、投資行為は行っておらず、リスクが限定的な Stablecoin の USDC で貸付を行うだけです。それを Coinbase が認証を取った顧客間に流動性提供させるものとなります。加えていえば、顧客は USDC をいつでも引き出せます。
よって、Coinbase の視点では何が問題になっているのか理解できないとのことです。いかんせん反応がないため、議論もできないと訴えています。
ここまででも十分に大問題だと思われるわけですが、さらに恐ろしいことが上記ブログには記載されています。引用します。
They also asked for the name and contact information of every single person on our Lend waitlist. We have not agreed to provide that because we take a very cautious approach to requests for customers’ personal information.
なんと、SEC は Lend の利用を待ちわびて事前登録を申し込んでいた顧客の情報を開示するように通達しているのです。一体何がしたいのでしょうか。この考え方は傲慢で大変危険です。
無法地帯の DeFi や仮想通貨市場で、上場までして真っ当に道を歩み前例を作ろうとしている会社に対して、このやり方では Binance や FTX が正しかったと言い切っているようです。この先に健全な発展はあり得ません。
これが、価格下落のもう一つの要因でした。