人が組織として団結して動く時、個々の力を遥かに超えた成果を生み出します。昔から人類はそれを知っており、だからこそ国家、企業、家族、あるいは教会という単位で、宗教により団結してきました。
この基本原則は今でも有効で、大きな組織であればあるほど、露骨な形でないにしても、宗教色を持っています。熱心な顧客を信者と例える場合があるほど、すでに日常に浸透しており、ありふれた真理ではないでしょうか。
宗教そのものを作ることが出来るかはわかりませんし、それが良いのかどうかもわかりかねますが、少なくとも、宗教の重要要素を借りてきて、会社組織や団体を強固なものにする戦略は体系化されていると思っています。
僕はそういった仮説を持っていろんな場面で応用してきたつもりでしたが、数年前、圧倒的な成果を出している大企業の創業者、経営者の方から、より具体的な5要素というものを教えていただく機会に恵まれました。実際にそれをどのように実践してきたかという実例を交えてお話をお聞きできて、仮説に対するひとつの有力な検証結果を与えていただきました。
その時の内容を自分なりに咀嚼し、再構成し、新たな仮説として日々検証を継続しています。現時点でまとめられる最新版の要素は以下の通りです。
宗教的共有幻想を構築するの5大要素
- 聖書
共有し信じるべき教義を誰もがわかりやすい形でまとめた文書。 - 紋章
所属を意識するために身につけ持ち歩く十字架に相当するもの。 - 教会
権威を証明しそれを確認するために集うための豪華な場所。 - 儀式
定期的に繰り返し開かれ体験を共有する行為。 - 神話
生きた伝説をかたりつぐ。
これらが用意できたら、次は現世利益を提供します。今の価値観で良いものを短期間で与えることが、信仰の強化には欠かせません。報酬は早い方が快感が強く残り、その報酬を得るための行為も強化されます。
教会として提供するのは、場所だけでは不十分です。居場所であることが必須条件です。同じ場所に集う仲間によって、心の拠り所を提供しなければなりません。体が悪くなくても病院にお年寄りが通うのと同じ理屈です。小さなコミュニティーを構築し、社交の場を提供します。そこで、所属する人たちが成功体験の共有をすることで、神話がより強化されます。それはやがて、自分たちと他者との壁を設ける基礎を築きます。
この、他者との壁が、大変に重要です。断絶がなければ、信仰は成り立ちません。
また、現世利益の提供はしても、組織・団体としてはリターンを短期に期待すべきではありません。それは長く時間をかけて実践するべきであって、初期の頃は与えることに集中します。
現代であれば、さらに加えて SNS で映えるプラクティスを推奨することも大切です。修行は人にみせて、評価されて初めて意味が生まれます。Like や RT で褒め称え合い、そこで拡散を目指します。