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雑記

ソフトウェアには寿命がある

何事にも寿命があります。建築物には、その環境や材質、設計や建造方法にも左右されますが、多かれ少なかれ寿命が存在しています。中には数千年という期間を生きているものもありますが、多くはそれほど長くは持ちません。
息の長い建造物は、シンプルなものです。構造がシンプルで、用途もシンプルなものです。複雑化すればするほど、寿命は縮まります。発展したはずの現代技術をもってしても、永遠にメンテナンス不要な建造物など無いわけで、命を預かる種類の建造物は特に、定期的な改修が必須になります。

目に見える建造物ではそのような常識が通用するのに、ソフトウェアについては永遠に生きながられるように思われるのは何故なのでしょうか。

先日、Internet Explorer のサポート終了が発表されました。大変に喜ばしいことです。すでに開発が止まり、終了を待つだけの状態だった製品ですが、明確にサポートが終了するということで、いよいよ全ての周辺産業が強制的に新しい環境へと移行せざるを得なくなるわけです。サポート終了以降は、セキュリティー上の重大な欠陥が見つかっても、開発者の Microsoft には、対応の義務が無くなります。当然です。そんなことに人的リソースを割くぐらいなら、新しい製品開発に、イノベーションに、力を割くべきだからです。

例えて言うならば、ボロボロですでに今の建築基準法や消防法では違法状態のビルが、ようやく取り壊すことに決まった状態です。そこに住んでいた人たちは当然に、そこから退去して新しい場所を探す必要があります。過去にそのビルの中に居住するためにいくら支払ったのかは関係ありません。これ以上そこにとどまることは、ビルの居住者にとっても、周辺の住民にとっても、大変に危険なことだからです。物事には、終わりがあるのです。

Windows XP の時もそうでしたが、古い環境をなんとしてでも使いたい人たちがいます。今回も、Internet Explorer の引退は困ると言う人がいます。業務で使っているパソコンが、システムが、その時代に作られたものに固定されており、新しい環境には移行できないというような理由です。もっとひどい理由としては、使い慣れた環境から移行するのはリスクがあるというものです。学習コストが上がるとか、余計なことをしてシステムを壊したりウイルスに感染したりとか、そういった問題を起こす可能性があるというものです。

まずセキュリティーリスクに関して言えば、古いものを使い続ける方が圧倒的に危険なわけですし、学習コストにしても、古いものを使い続けて無価値なノウハウを貯めていく方がはるかにコストが高くなります。モダンな設計のソフトウェア環境に移行する方が、業務全般、ひいては日常生活全般に至るまで、副次的なメリットが得られます。

ソフトウェアには寿命があります。ソフトウェアは老朽化しますし、陳腐化もします。それも、目に見える建造物の老朽化速度とは、比べものにならないほどの速度で進行していきます。実世界の時間の流れと、インターネット上で加速度的に速度を上げて進むイノベーションの速度とが違うことは、5年前と今の環境の違いを思い返すだけで十分に理解できることだと思います。

崩れ落ちる建物にいつまでも居座り続けることにはなんのメリットもありません。移行にコストがかけられないというのであれば、テクノロジーによる恩恵を捨て去り、進み続ける列車から降りるべきです。それができる人や組織ならきっと、ハンコと FAX と電話があれば、仕事ができるでしょう。紙とペンも使えます。

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