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雑記

生き延びるために余計な事を諦めない

大航海時代に、ヨーロッパの国々が世界を支配したのはなぜかという問いについての考察です。これは同時に、コロナ禍で求められる対策の優先順位や長期的な影響について考える上でも外せない視点だと思っています。

銃・病原菌・鉄

過去の読書ログを見返していて、改めて重要だなと思ったことをまとめていくシリーズです。今回は、銃・病原菌・鉄。
その中に、中国が圧倒的に有利な進歩をしていたのに、後進国であったヨーロッパの国々に世界の覇権を奪われた経緯がありました。

コロンブスは三人の君主に断られ、四番目に仕えた君主によって願いがかなえられたのである。もしもヨーロッパ全土が最初の三人の君主のうちの一人によって統一支配されていたら、ヨーロッパ人によるアメリカの植民地化はなかったかもしれない。

つまり、コロンブスが航海に出るためにスポンサーを探していた時、何度も断られたという話です。スタートアップの資金調達の場面で引き合いに出されるエピソードでもありますが、断られても次々とアプローチをしていき、最終的には機会を得たという成功事例です。
コロンブスの遠征が成功だったかどうかはさておき、遠征に行くための手段を獲得した執念は並大抵のものではありません。いまのような情報化時代でもなく、歴史から学べることも限られており、自由な人間関係が構築できるような時代でもありませんでした。情報伝達をするだけでも気が遠くなるほど難しかったはずです。それでも、大きな支援を獲得するまで継続した執念には驚かされます。

一方の中国はというと、大航海時代に対して違った対応をとっていました。

国内の政治状況に対応するために、既存の進んだ技術を後退させていった多くの国々をも思い出させるが、中国は国全体が政治的に統一されていたという点でそれらの国々とは異なっていた。政治的に統一されていたために、ただ一つの決定によって、中国全体で船団の派遣が中止されたのである。ただ一度の一時的な決定のために中国全土から造船所が姿を消し、その決定の愚かさも検証できなくなってしまった。造船所を新たに建設するための場所さえも永久に失われてしまったのだった。

独裁による弊害とまでは言い切れませんが、要するにあまりにもうまく統一が出来ていたために、長期的に間違った判断であったとしても執行されてしまうという状況にあったわけです。民主的な国家と独裁的な国家という単純化した比較の話ではありませんが、多様性が消滅した社会においてどんな弊害が出るのかの良い例だと思います。

時に、偏った思想は高速の成長を実現させます。テクノロジースタートアップが大抵そうであるように、極端な思い込みで熱量がこもった少人数のチームは、イノベーションを起こすことがあります。
一方で、状況が変わったり、ひとつ判断を間違えたりすると、そのカルチャーは即死に至る病にもなりえます。多様性を持つことが人類の生存戦略であるのならば、やはり組織化の中で多様性を育むことは、命の安全性、安定性の向上に寄与するということです。

コロナ禍で起きている世界各国の対策措置は、短期的な視点でのみ評価せず、本来は長期的な視点でも警戒して見るべきであります。もちろん何事も人命には代えられるものではありませんので、長期的な影響や後の結果などはどうでもよく、感染防止優先、ワクチン接種、医療体制強化、貧困層の保護という方針に異を唱える必要性はありません。
それでも公衆衛生環境が改善した場面で、改めて何を失ったのかを検証するべきであります。

経済への打撃を回復させるための対策も必要ですが、それはどこの国も短期的な利害に影響するため、優先的に対策します。問題は、計測が難しい分野です。例えば、文化的な損失は影響が見えません。先の中国の事例のような長期的な視点での影響も、見えづらいでしょう。

最近、安全性についてこれまで以上に深刻に考えるようになってきました。我々は皆、生きるか死ぬかの瀬戸際にいるということが、ようやく理解できました。

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