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雑記

幸福とは何か

人類繁栄の鍵は、幻想を信じることができる能力です。

集団幻想を抱くことができ、その幻想ゆえ社会を形成することができ、繁栄をしてきました。サピエンス全史的解釈では、この能力の差こそが決定的に他の動物との違いを生んだことになります。幻想に生きる状態を快適に感じるからこそ今日があるわけで、人が感じる幸せもその幻想の中にこそあります。

つまり、幸せもまた幻想です。脳の作用です。脳が、認識している幻想です。それにすがっていける能力が人間に備わっているからこそ、我々は生きていけるわけです。

幸福とはそんな脳の化学変化であり、その持続時間や強度は太古から変わらないと、サピエンス全史でも言及されていましたが、要するに身体器官として存在している脳は、我々の作り出した社会や科学技術と比較して劇的な進化を遂げているわけではなく、かつてのままあるべき場所にあり、幸福を感じる神経伝達物質を受け入れているに過ぎません。物質的な豊かさとは関係がなく、幸福を感じられる状態にいるものが幸せだということになります。生存本能として、幸福を感じることで生きる確率を上昇させる人類にとって、幻想の果にて生み出した社会の中で生きていける確率を上げることに、より強い幸福を感じます。

幸福とは、個人の生きる意味と、社会が求める存在の意義が一致する状態だと言えます。結局、生きる意味を見出した者が真の幸福を手にできる、ということになります。

そういう意味では、現代の我々は非常に幸福になりやすい状態にあると言えます。所属する社会に自分の存在意義が得られないと感じたら、所属先を変えることが可能になりました。わずか数世代前まで、それすら叶わぬ時代でした。
社会を変えるのは非常に難しく、また変えるまでに長い時間がかかるため、幸福である状態に到達するまで時間がかかります。個人、つまり自分自身を変えることは比較的ハードルが低いのですが、周辺の環境を大きく変えずに幸福状態を手に入れるためには、信じてきた価値観の方を軌道修正する必要が発生し、それもまた労力を要します。場合によっては認知の矯正が必要になるかもしれません。
そうではなく、所属する社会を変えるというのが、現代に生きる人類が手にすることができる手っ取り早い選択肢です。家族でも会社でも国家でも、あるいは身近なコミュニティーでも、SNS でも。自分がいまいる場所が、自分の価値観とのズレが大きいと感じ、自分の存在意義と一致しないと感じたら、簡単にできる所属先から順に変えていけばよいのです。そうすれば、幸福度は増すことになります。

社会から、コミュニティーから隔離してしまうという選択肢は存在しますが、人類の本来の性質から言えばそれで幸福になれるはずは無いので、その選択肢は一時的な不幸の抑制にしかなりません。決して、積極的な問題解決策ではなく、状況を悪化させないための対処療法であると言えます。

幸いにも小さく実験することができる社会に生きているので、オンラインでもなんでも良いから、所属する先を変えて、幸福を追求することをすべての現代人は試みるべきではないでしょうか。

あるいは、幸福が脳の科学変化であるならば、幸福になるためにはその化学変化をハックするのが最も近道とも考えられます。薬物はその結果乱用されて社会が混乱し、人々の共有幻想が崩壊するに至ったので禁止されているわけですが、マインドフルネスやバイオハックによって適度に幸福を感じされる時代は始まっていると思っています。それは大いに追求したい未来です。

サピエンス全史

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