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Mark Karpelès(マルク カルプレス)氏インタビュー【前半】

2018年2月7日、Mt. Gox(マウント・ゴックス)元 CEO、マルク・カルプレス氏にインタビューを行いました。先行して公開した動画も合わせてご覧ください。


藤本
今日はお忙しい中、来てくださり、ありがとうございます。
カルプレス
こちらこそ話す機会をくださり、ありがとうございます。
藤本
Facebookが1年前の出来事を写真で教えてくれますが、2012年4月に私がマルクのところを訪問した時のものが出てきて、懐かしいなと思って見ていました。6年くらい前に1度会っているのですが、覚えていますか?
カルプレス
そうですね。6年前は今とは全然違う環境にいましたね。
藤本
社員も20人いないくらいで、小さなところでやっていましたね。
カルプレス
2012年4月だとまだセルリアンタワーにいた頃です。
藤本
そこから色々あって今があるわけですが、どこのメディアでもイケメンになって帰ってきたと言われていますね(笑)。コメンテーターに「すごく痩せられましたね」と必ず言われていて、それがいつも面白いなと思っています。本当にステキになって(笑)。
今日は色々なお話を聞きたいと思っています。マウントゴックスのことも聞きたいのですが、最初はパーソナルな部分やなぜビットコインに興味を持ったのかということを聞きたいと思っています。マルクが最初にビットコインに興味を持ったきっかけは何ですか?
カルプレス
ビットコインに最初に興味を持ったのが2010年あたりでした。日本に来てちょうど1年くらい経っていて、「TIBANNE(ティバン)」という会社があって、そこでホスティング事業をやっていました。ウェブサイトのホスティング、ドメイン名の登録などをやっていました。そのお客様の中にペルーに住んでいるフランス人がいました。彼はフランス人なので銀行もフランスで登録しているのですが、誰かがクレジットカード番号を盗んでペルーで購入していると思われて、怪しまれて、ネットの決済で困っていました。
こちらは事業をやっていて、誰かが適当なドメインとホスティングを登録して、そこにカード番号を盗むためのサイトを入れて、それを色々な人にメールで送ったりされるリスクがありました。そういうことがあるので、不自然な取引は全部チェックしていました。ペルーでの購入者がフランスのクレジットカードを使うのはどう見ても怪しいとなってしまうので、ほとんどの会社に断られてしまいます。そしてそのお客様が「ビットコインというものがある」という話をしてくださいました。
藤本
へぇ-!その人から聞いたんですね。
カルプレス
「できればビットコインで支払いたい」と言われました。
藤本
それが最初?
カルプレス
そうなんです。ビットコインのことを聞いて、調べてみて、ブロックチェーンも技術的にも面白いと思いました。
藤本
エンジニアさんですもんね。
カルプレス
ビットコインのソフトはかなり使いにくかったです。今のようにきれいではなくて、別の技術を使っていて、インターフェイスにもちょっと不満がありました。「使いにくいから新しいのを作ります」とナカモトサトシさんとお話をして。
藤本
そっか、マルクもナカモトサトシと話したことがある1人か!いいなあ。
カルプレス
「新しくビットコインのクライアントを作る」と言ったら、ナカモトサトシに嫌がられて。
藤本
拒否された(笑)
カルプレス
ソフトやルールが1つでないと管理しにくいと言われて。
藤本
ナカモトサトシの話が出ましたが、当時は開発者とナカモトサトシがメールでやり取りしていたのでしょうか?
カルプレス
メールやフォーラム上でしていました。何回も話をしたことがあります。
藤本
まずはユーザーとしてビットコインに関わって、その後に事業として取引所を始めるきっかけは何だったのでしょうか?
カルプレス
まずはユーザーとしてビットコインを使ってみました。そしてビットコインのソフトウェアをダウンロードして自分のCPUでマイニングしたら1日で50ビットコインもらえました。「ビットコイン、大丈夫かな」と思いつつ、とりあえず頼まれたので決済で使ってみようと思いました。決済に使えるようになったのが2010年9月か10月辺りでした。
藤本
その時期はまだなかなかビットコインで受け取るということを自分からお願いする人は珍しいと思うのですが、その人はビットコインが良かったんですね。
カルプレス
当時はまだマウントゴックスしか取引所がなかったのですが…。
藤本
マルクの口からマウントゴックスと聞くとちょっと新鮮(笑)。ゴメン、笑って。
カルプレス
ビットコインで支払いを受けるのであれば、現金化できないと困るのでマウントゴックスを使ってみましたが、当時は使い物にならないなという結論になりました。
藤本
その時はまだ別の人がマウントゴックスを運営していたのですよね。マルクはその後、どういうタイミングで運営することになったのですか?買収ですか?
カルプレス
2011年の1月辺りにジェド(ジェド・マケーレブ:マウントゴックス創業者)からちょっと手伝ってもらえないかと言われて、マウントゴックスの技術的な部分を最初は手伝っていました。銀行との連携は普通のエンジニアはできないところもあるので、そこをちょっと手伝ったら、2011年1月18日にジェッドからマウントゴックスを引き継がないかというメールが来ました。そして、マウントゴックスを2011年3月からやることになりました。
藤本
私は2011年12月にロジャー(ロジャー・バー)に初めて会って、ビットコインのことを知りました。運営を始めて取引量がどんどん増えていくと、毎晩気になって、ストレスで眠れないことはありましたか?大きなお金が動くので、そのストレスは大きかったですか?
カルプレス
最初にマウントゴックスを引き継いだ時の顧客は3千人くらいだったのですが、そこから3カ月間で6万人になりました。かなり増えて、ビットコインも1ドルから30ドルくらい、30倍になりました。マウントゴックスも最初は数十万円の取引だったのが、何百万円から何千万円の取引が多くなってきました。
藤本
大変でしたね。今の取引所の人たちもそういうストレスを抱えながら頑張っているんでしょうね。
カルプレス
昔と比べたら、今のビットコインの技術は良くなっています。昔できなかったことができるようになっています。その1つがマルチシグ。ビットコインなどの仮想通貨を複数のキーで守ること。それだけでも結構セキュリティが上がります。
藤本
BIP(Bitcoin Improvement Proposals)XX、と改善されていっているんですね。話は変わりますが、マルクが逮捕されたりしてメチャクチャ大変だった時期に、業界の中で誰かが助けてくれたというエピソードはありますか?
カルプレス
あの頃はほぼ誰もいなかったです(笑)
藤本
誰も助けてくれなかった(笑)?
カルプレス
マウントゴックスの破産、逮捕も含めて、こちらから誰かに関わらせたら迷惑がかかりますし、破産の前にもロジャー(ロジャー・バー)がビデオを作って、かなり迷惑になっているので。こちらからは声をかけられない状況。
藤本
声をかけたらその人たちを巻き込んでしまう状況。
カルプレス
間違いなく(笑)。だからちょっと反省しながら、自分でやっていくしかなかったんです。
藤本
そういう人柄を知ることができたのが、私はすごくうれしいです。人を巻き込まないように頑張っていたんですね。
よく考えたら、無罪を主張しているけれど、法廷では現在も続いているんですね。
カルプレス
法廷での手続きが続いています。
藤本
私は真犯人も見つかったし、無罪だという前提で話しています。真犯人が見つかった時の気持ちは?今までは自分が横領しているという感じでしたが。
カルプレス
まず説明しないといけないことがあって、日本で行われている法的な手続きはビットコインの喪失とは無関係です。マウントゴックスが2014年2月に民事再生の申し立てをして、何百億円分のビットコインが喪失しているとなっていますが、警察では今回の事件の対象外になっています。
藤本
どう違うのでしょうか。ちょっと混乱します。
カルプレス
自分が問われている内容は、業務上横領と言われて、マウントゴックスの銀行口座からお金を振り込んでいるということです。
藤本
そこがゴッチャになっているんですね。私もゴッチャになっていました。
カルプレス
大体みんなゴッチャになっています。自分が言えることは、ビットコインは盗んでいないので、そういうふうに訴えられても何も成り立たない。
藤本
2つの問題があるということですね。盗んだ真犯人は見つかって、今、マルクが問われているのは違う部分のところですね。
カルプレス
今回の裁判で明らかにしたいことがいくつかあります。今は何も言えないですが、できる限りのことを。
藤本
犯人が見つかった時にはホッとしましたか?
カルプレス
ホッとしたというよりも、やっと犯人が見つかったというところ。見つかったというよりも、やっと逮捕できました。実際のところ、犯人のことは事前に大体知っていました。
藤本
確実な証拠が見つかるまでは捕まえられなかったのでしょうか?
カルプレス
彼がロシアから出るまでは捕まらなかった。
藤本
ロシアから出たから捕まった。スノーデンもそうですよね。ロシアにみんな亡命しますよね。
カルプレス
ロシアはアメリカにあまり協力しない体制なので。
藤本
今回のNEMも見つかればいいですが、色を付けても薄まっていってしまうので、難しいのでしょうか?
カルプレス
難しいですが、犯人がどこまで賢いかという問題があります。よく言われているのが、犯人は必ず誤りを犯す。それをちゃんと見分ければ、誰が犯人か分かる可能性がある。
藤本
それを期待したいですね。
そうそう、逮捕された時に青いTシャツに「努力しないフランス人」と書いてありましたが、わざわざ目立つのを着ていた理由は何かありますか?メチャクチャ気になっていたんです。
カルプレス
あれは書いてあったことには意味がなくて。
藤本
何か意味があるんじゃないか、陰謀なのでは、とか色々言われていましたよ。
カルプレス
実際のところ、あのTシャツは今、刑事事件を担当している弁護士の奥さんからもらったもので(笑)。
藤本
普通だった(笑)。そうだったんですね。たまたま着ていた服ですか?
カルプレス
逮捕された朝も、弁護士と電話をしていました。その奥さんから頑張ってと言われていたので、服を選ぶ時にもそれを選んだということだけで。
藤本
なるほど(笑)。
カルプレス
別に努力しませんとか、そういうことを言うつもりはなかったんです(笑)。
藤本
私が近くにいて、意味が分かったら「マルク、今日はそれちょっと着ない方がいいかも」と言ったかもしれないけど、大事な人からもらったというバックグラウンドがあったんですね。
カルプレス
あの時は1人で判断力もなかったです。朝の結構早い時間で、警察から「あと20分で逮捕に行きます」と電話がありました。
藤本
そんなに軽い感じなんですか?
カルプレス
そんな感じでした。当日の朝に警察から電話があって、ちょっと待ってください、シャワー浴びます、という感じで。
藤本
でもそのおかげで見た目がステキになったのがメリットでしょうか(笑)。
カルプレス
最初の4カ月間でもう30kg痩せていたので。最初は警察署で痩せて、東京拘置所で5kgぐらい太りました。
藤本
Twitterであと10kg痩せると言っていましたが、これ以上痩せなくても、今がちょうどいいんじゃないですか?
カルプレス
まだまだ痩せます。もう少し目指しているところがあるので。
藤本
YouTuberになるんですよね?
カルプレス
はい、なります。
藤本
私もアンケートに答えました。私は、仮想通貨のチャンネルを作って欲しいに投票しました。
カルプレス
ありがとうございます。日本では意外と、アキバ系の回答も多かったです。
藤本
仮想通貨少女も生で見られたんでしょう?あれはアキバ系ではないのかな。
カルプレス
あれは日本的な感じがありますね。海外だと仮想通貨は金融系の硬い方々が関わっていますが、日本だと「2ちゃんねる」のモナコインとか、そっちの方が意外と影響力があります。
藤本
アキバ系でやるとしたら、どういうのが好きなんですか?アニメ?1番好きなのは?
カルプレス
「蟲師」という古いアニメですが、最近またやっていて。
藤本
私も結構アニメを観るから被るかなと思ったけれど、全く分かりませんでした。
カルプレス
言ってもらえれば、こっちが分かる可能性が高いです。
藤本
私は「ギルティクラウン」がすごく好きです。
カルプレス
知っています。
藤本
本当ですか。ギルティクラウンのいのりちゃんが好きで、何回も観ています。最近は「STEINS;GATE」を観ました。面白かったです。
カルプレス
電子レンジが…。
藤本
そうそう。やっぱり色々知ってますね。

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