カテゴリー
雑記

サードウェーブが来る

マーケティングとは、言い換えれば騙すことだと思っています。もっと良い表現もできるかもしれませんが、本質的には、価値が無いものを価値があるものだと消費者に思い込ませ、信じ込ませる行為です。それを効率よく行うのが、マーケティングです。
宗教と構造は同じです。悩める信者に対して、様々な方法を用いてある考えを信じ込ませ、行動にうつさせるわけです。

人々の知能が、時代が進むにつれて上昇しているという報告があります。正確には IQ テストのスコアが伸びるのですが、これはフリン効果と呼ばれます。

20世紀において、時代が進むに連れてIQテストの正解数が伸びていくことは、「フリン効果」と名づけられ、今では30カ国以上で立証されている。その伸びは驚異的で、10年ごとに3ポイントだ。長期的に見てみると、たとえば、現在平均的なスコアの成人は、1世紀前なら上位2パーセントに入る。

RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる

工業化し産業が発展していくにつれ、より抽象的な概念を理解し取り入れることが求められるようになり、結果として人々がその環境に適応していくためだとされています。
そう考えると、いずれいま信じられている嘘は見破られます。ただの砂糖水をガブガブ飲むのは体に良く無いのは常識となり、この先の社会ではそれが大変にリスクであることが今以上により明確な認知をされた上で叫ばれる可能性があります。かつての覚醒剤や、今のタバコのようにです。

例えばコーヒーにしても、数十年でトレンドが変わりました。
かつては粉末のインスタントコーヒーしか無く、ニューヨーカーのようにそれを朝の食卓やオフィスで飲むことがかっこよくて、違いが分かる人は飲んでいるとされていました。確かにその時代には選択肢がなかったので事実も含まれていたのでしょうが、当然にそれは誇張された幻想です。

それに対して、同じく大量生産大量消費の路線を継承しつつも、街角で本格イタリアンラテを提供し、エスプレッソやドリップコーヒーを紹介したスターバックスが人々の消費傾向を置き換えていきました。本物の違いとは何であるか、味と香りで明確な差別化をしています。そのうえで、おしゃれな空間やパッケージのデザイン、そしてフラペチーノというコーヒーですら無い商品を主軸にするという明確な嘘によって、人々を誘い込んだわけです。咲き乱れる花のように、対象となる顧客を本能のままに吸い込むような立地や設計を行い、結果的に意図しているとおりに味の違いという実力で市場を取りました。
もちろんスターバックスには、そのパートナー(社員やアルバイト)の待遇など興味深い差別化要因が多々あるのですが、それについてはまた別の機会に考えます。

でも、徐々に嘘が暴かれていくわけです。街角で売られるコーヒーの値段とはかけ離れた薄給でコーヒー豆を生産する農家は、その味すら知らないこともあります。そしてフェアトレードを意識した売り方が始まり、次には生産時及び輸送時の二酸化炭素排出量という指標も意識され、加えて当然のごとく味のさらなる違いを意識したスペシャリティーコーヒーが評価され始めたのです。
一連の変化によって、コーヒーを消費する人の心理に新しい判断基準が設けられました。そしてまた、新たな競争が繰り返されます。

多様化といえば単純化されすぎてしまいます。多様化だけではなく、ここには確実な螺旋状の進化があります。トレンドやイノベーションは一定の周期で同じようなことが繰り返されますが、繰り返す度に一段回上昇しているのです。

持続可能な社会、サステナビリティーを意識しつつ、消費者の判断基準に新たな宗教的価値を付随する挑戦が各所で始まっています。それは ESG 投資から、それを意識した企業の SDGs への取り組みにも及び、一般消費者の中でも良い選択をする気持ちよさという付加価値を提供するに至っています。

振り返ります。物事の市場拡大にあたり、マーケティングの手法としては、第一段階はとにかく信じ込ませて売り込むことから始まっています。次に、そのコモディティー化した商品を特別なものにする付加価値が生み出されます。違いによって、差別化する競争が起こるわけです。そしてその次に、サードウェーブとして、これまでの価値観を破壊する概念が登場し、以前を否定して新常識を打ち立てます。その際に、市場は多様化し、分散化し、これまでよりもパイが小さい市場を創出することになります。よって、高付加価値な商品がまずこのサードウェーブの波に乗ることになります。

しかしこのサードウェーブの部分もまた、俯瞰してみれば、第一段階同様に、マーケティングによって無理矢理に信じ込まされている状態と捉えることも出来ます。つまりは次にまた、新たな差別化がやってくることになります。

この先社会は繰り返しを経て、概念的理解に長けた新たな消費者を相手にし、多様化の速度を上昇させるでしょう。よって独占化や寡占化は難しくなり、高付加価値な小さいサークルの単位で成立していくものと思われます。物理的論理的に限らず、サークルのサイズは自ずと小さくなるでしょう。
来たるべきサードウェーブの社会に備えて、今生き残るべき手段は、まずはマーケティングを最大限に駆使して、余力を蓄えることなのかもしれません。

「サードウェーブが来る」への1件の返信

[…] そう疑って物事を見ると、サードウェーブに対して誰が何を仕掛けたいのかという視点が面白くなってきます。今はまだ、騙すことが正義であり、力を持っている時代です。誰が何をしたいと思っているのか、言葉以外の部分をみる習慣を身につけるべきではないかと個人的には思っています。 […]

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください