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雑記

ハイスコアガールで気づいたゲーム業界とブロックチェーン業界の共通点

ハイスコアガールというマンガと、それを元にしたアニメがあります。これを見て感動したのですが、重要なことに気づかされました。そもそもネタがハイコンテクストすぎて、一般にウケるような種類のものではありません。けど、だからこそ、個人的にはハマりました。

まず作品の内容について。ちょうど今の30代の人が子供の頃が舞台となっており、娯楽の無い退屈な地元で、ゲームセンターに通いゲームに明け暮れる、というなんとも言えぬノスタルジーが漂う作品です。特徴は、登場人物です。ゲームセンターに似つかわしくないお嬢様が通っており、しかも最強だ、という感じの意外さがあります。登場するゲーム自体は全くそのまま実際の時代、ゲーム内容を持ってきており、わかる人にはわかる展開がたくさん用意されているのです。全く喋らないお嬢様ですが、ゲームのプレイスタイルやゲーム展開、ゲームで発生する効果音で感情を表すという斬新さが見所でした。

本題。見終わってからずっと感じてたことがあります。なぜあれほどのゲームの名作が日本で誕生したのか、日本からしか生まれなかったのか、ということです。そしてそれに加えて思うことがありました。言語の壁を超えて世界市場に、なぜいきなり通用してしまったのか。なぜそのほとんどが消滅したのか。消滅の予測やピボットはできなかったのか。ここから考えられることが多々あるのではないかと。
特に、セガ、ハドソン、SNK のように、ハードまで作っていて評価が高かった会社が、なぜ終わったのか。

これは、ブロックチェーンの勢力争いや、その上でのトークンの攻防に非常に参考になると思ったのです。インフラレイヤーの戦略という視点で、身近な事例です。仮想通貨取引所が日本から本格的に始まり、一時は世界の中心だったという展開も、その後の失墜も、ゲーム業界に重なります。

当時のハードウェア参入組の勢いというのは、とんでもないものでした。Wikipedia によると、ハドソンの項目にはこんなことも書いてあるります。

1981年には孫正義率いるパソコンソフトの流通会社である日本ソフトバンクと独占契約を結び、上新電機を始めとする全国の主なパソコン販売店の店頭でソフトウェアが販売される体制を確立した。なおソフトバンクの歴史でハドソンの存在は必要不可欠と言われており、現在も孫は工藤兄弟を「恩人」と呼び、事ある毎に礼を欠かしていない。

昔のゲーム業界を調べると、それはまるでアーティスト中心の音楽や絵画みたいな産業でした。少人数でやりたいことやってみて、当たればでかいモデルです。みんなエンジニアというより、バンドみたいな感じが共通点でした。ニーズの掘り起こしや顧客の分析が中心ではなく、作りたいもの作って、消費者のニーズにマッチして短期間に燃え上がったというサイクルが見えてきます。だから、外れた時の失墜が早くなります。ハリウッド映画の真逆で、設計されて最低限売れるようなものを作るというのではなく、一発攻めるという賭けです。
そもそも、商業的に成功することを必須としたビジネスとして、事業体が経営されていません。実際はどうだったか知りませんが、いわゆる経営では成り立たない、アーティスティックな感性の世界だと理解しました。

これまでに存在しなかった産業であり、容易にピボットできなかったのも良くありませんでした。ハードはとにかくコストかかるし、リスクが大きすぎます。ASIC を作ったらビットコインが下がっていた、みたいな事が起こるのです。
ハードを自社で作るか、任天堂に乗るか、という選択肢は、任天堂を Ethereum に置き換えてみたら、納得がいきました。任天堂が Ethereum なら、SEGA は EOS です。ゲーム(ソフトウェア)製作者は、ハードの長期戦略や顧客視点を含めた将来性を考えて、エコシステムを選ぶべきだったなと今なら当然のごとく言われると思います。当時の熾烈な競争や短期の開発サイクルの中では、後先考える余裕がなかったのは事実であり、今からどうこういうべき事ではありませんが、ブロックチェーン状のエコシステムを開発、展開する事業者や開発者にとっては、スクエニの失敗とコナミ成功から、多くを学べそうだと思います。

それにしても、任天堂は本当にすごいです。ゲームセンターの筐体用ゲームからの移植をたくさん成功させていますが、ハードウェアの性能の差で多くを諦めているため、実際には完全移植はできていなくて、ゲームマニアや開発陣からすればものすごい削られ方をして、無理やりスーパーファミコン等に移植されていたのです。それでも、売れてるわけです。これ、削られたってところ、子供の頃には全く気づいていませんでした。これが重要だと思います。
こだわりのゲーマーは SNK のネオジオをやっているわけですが、市場で結果を出して成功しているのは、任天堂な訳です。ファミコン、スーパーファミコンのために作られた RPG が主力になったのは、当然の流れと今なら思えます。まるで、iPod 以降の Apple みたいです。

ゲーム産業における経営の不在。この反省から生まれたのがソシャゲだと思います。良くも悪くも、ハリウッドっぽく、マーケティングも、ビジネスモデルもできています。先のゲーム業界の失敗の反動で、余計に稼ぎに走ったことや、パチンコ業界とのエンタメの統合が起こったことから、尋常ではない課金モデルを発明してしまったという闇もあります。そこはこれからの重要な課題ですね。ブロックチェーン産業も、健全なビジネスモデルを構築していかなければと強く思いました。

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