新しい概念です。従来のマイニングのイメージとは少し異なります。この新しい動きについて、分かっていることをメモとして残します。
取引所も多様化してきて、いろんなビジネスモデルが生まれたものだと思います。取引マイニングとは、取引所の収益モデルの中に、マイニングのメカニズムを組み込み、商品設計されたものです。
この概念は、Fcoin という取引所の動きで目立ちました。
大手取引所 Houbi の元 CTO である Zhang Jian によって設立された FCoin は、中国系の仮想通貨取引所です。Binance の取引所内トークン BNB と同様、取引所の手数料優遇などに使える独自トークン FT を発行しており、その販売方法の一環としてマイニングを活用しています。FT には独自の特徴として、取引所の収益から配当が得られたり、議決権のような意思決定に関する権利が与えられたりしており、単純なユーティリティートークン以上の設計となっています。
FT は Ehtereum 上で発行されたトークンですが、現在は独自のパブリックブロックチェーンを開発しており、今後はそちらに切り替わるようです。その展開はまた、要チェックです。Binance の BNB と Binance Chain のような新たなムーブメントを起こすのかどうか、興味深いです。
さて、話を戻して。FT のマイニングとは、BTC や ETH のように電力を消費して計算能力を提供する対価としてコインを受け取るのではなく、Fcoin のプラットフォームの各種サービスの利用(貢献)に応じて報酬がもらえるという仕組みです。
パターンがたくさんあるので、基本となる取引マイニングに絞って説明します。厳密には複雑な設計がされているのですが、シンプルに説明すれば、Fcoin を利用して取引をすれば(プレイヤーとしトレードに参加し全体に貢献すれば)、その結果として取引所が得た収益の一部を FT 所有者に分配する、ということです。一定以上のトークン保有者が、そのトークンを定められた期間ロックアップすることに同意すれば、毎日収益分配が行われるというモデルです。取引所の取引収益の80%をこの分配に当てるという大胆さで注目を集めました。
これを FCoin sustainable mining という呼び方で呼んでいます。
マイニングとは呼んでいますが、これはトークンの新たな販売方法とも取れます。取引所で BTC や ETH のトレード時にトランザクション手数料を支払えば、相応の FT が付与されるという解釈もできるので、ICO のトークン販売禁止の流れを迂回しているだけとの批判もあります。
全てを理解するには複雑すぎる難点があるのですが、アイデア自体は面白く、可能性があるとは思います。ですが、この後どうなるかは、まだ未知数です。