CERN へ行ってきた
CERN へ行ってきました。後日正式に発表しますが、公式なアポイントメントを設定していただき、訪問しました。繰り返しますが、CERN、欧州原子核研究機構です。
今でもはっきりと覚えています。子供の頃テレビで見た、インターネット革命の特集を。CERN で Tim Berners-Lee が WWW(World Wide Web)を生み出し、その可能性に興奮した Marc Andreessen が Mosaic を開発したエピソードを。いまのインターネット社会は、間違いなく、WWW から始まっています。
その WWW が誕生した場所へ、行ってきました。
何をしに行ったのか
結論から言います。SIVIRA はこれから、次世代の社会インフラを研究開発していきます。SIVIRA のビジョンとしている、自律分散データ経済圏の樹立を目指した、重要な一歩です。ブロックチェーンと次世代のコンピューター、通信ネットワーク、センサー、ビッグデータ、それらの技術を統合した、社会インフラを作っていきます。
これまで SIVIRA はブロックチェーンの会社として紹介してきましたが、もはやそういう次元を超えていきます。
WWW が誕生した地で研究者達に語ったこと
丸一日を費やした議論の中、特に始めの2時間ほど、僕がビジョンを語る場として設定していただきました。それは、強烈な問いから始まりました。
Tim Berners-Lee had a vision when he made WWW.
Hiro, what’s your vision?
本当に、身が引き締まりました。いままで何度も何度も、様々な場所で語ってきたピッチをするだけで良いのに。これまで10年以上、同じビジョンを語ってきたのに。数え切れないほどの場数を踏んできたのに。
そんな、これまでとは全く違った重さを実感しながら、ゆっくりと口を開きました。口が開ききるまでの間、自問自答が続きます。
これからここで語ることは、決して嘘であってはならない。単なる個人的な夢でもいけない。人類を科学で前進させることを目指している一流の人達を相手に、フェアな社会を築くことを心情としている人達を相手に、実現性もないような独りよがりな夢を語っても仕方がない。けど、心配はいらない。いつも通りいこう。自信を持って、想いを伝えればいい。
Yes, I have a vision. That’s why I’m here.
次世代の社会インフラを作る
僕がいつも言い続けているように、はっきり言って、ビットコインの価格がどうなるかとか、どうでもいいんです。2013年、ビットコインの可能性を感じてこの世界に飛び込んだのは、仮想通貨とそれを支えるブロックチェーンが可能にする、M2M のマイクロペイメントの世界です。
人も、モノも、AI も。誰もがみな平等につながり、コミュニケーションを取り、自律的に機能する社会です。
今の SIVIRA が得意とする仮想通貨とブロックチェーンは、非常に重要な鍵となるテクノロジーだし、そこに ICO を組み合わせれば、これまでにない意図を持った資金と支持者を世界中から集めることができます。
だけど、“ブロックチェーン”がやりたいわけではありません。“ブロックチェーン”で終わるつもりもありません。単なるブロックチェーン開発スタートアップを始めたつもりなんてありません。
確かに分かりやすい “Fin-Tech” ではないかもしれません。だからこそ、目先の収益を最優先する評価軸では測れないのが現状です。
けど、そこには社会的な意義があると確信しています。世界トップの研究機関 CERN の持つ幅広い研究成果、一流の研究者達、圧倒的な情報量と経験。それとブロックチェーンが、SIVIRA の技術が少しでも重なれば、新しい道は開けると信じています。
今、この場所からなら、本当にフェアで、誰もがその利益を享受できる新たな技術基盤、社会インフラを想い描けるし、実現できます。
スタートアップを超えていく
すみません。SIVIRA は、単なるスタートアップではありません。次世代のインフラを作り、次世代の経済圏をつくることを本気で目指している技術者の集まりです。
かつてインターネットが夢見た、フェアな社会をいまこそ実現しよう。
そう語り終えた僕に向かって、何度も鋭い質問を投げてくれたリーダーが言いました。
Hiro が語ることを実現するのはとてもむずかしい。いくつもの課題を克服して、現実的なプランに落とし込む必要がある。他にどれほどの研究者がすぐに賛同してくれかも現時点では未知数だ。
同時に、既存の社会構造を破壊してしまわないように、慎重にやるべき事でもある。何度も言うが、難しい。
けど、だからこそ挑戦する価値がある。
世界一とは何か
DAO 型の組織が誕生して以来、また、ビットコインの価格が上がるに連れて、思うことがあります。
今後、Apple を超える会社は誕生しないでしょう。僕が手がけるどんな事業だって、もう、Apple のような巨大な会社にはできないと思っています。
また、DAO が思想によるつながりだとしても、アメリカを超える国家を作ることも不可能だと思っています。
なぜならそれは、いまはもう過去のものに成りつつある価値モデルに基づいた評価だからです。
利益を最優先する組織。多くの人を単一の価値観に当てはめる手法。株式会社や国家という枠組みでは、測れない基準が存在しています。
世界で最も人を幸せにする「組織体」は作れる
それは思想であり、同じ夢を抱く人のつながりであり、行動するための規範です。それを設定し、世界を前身させることは可能だと思っています。
それは特定の会社組織の枠を超え、複数の組織や個人の集合体で成り立ち、これまでとは違う価値判断基準で自律的に動きます。
ビットコインという考え方が蔓延し、急成長し、それを止める手段が存在していないことが、その良い例です。
SIVIRA のみならず、いま僕が様々なプロジェクトに携わっているのは、それを効果的に目指すためです。常に、全体像を意識しています。点だけでは、絵は描けません。点が集まって、繋がって、俯瞰して見た時初めて、そこに名画が認識されるのです。
その絵を描く事に、全精力をそそいでいます。
いまその中で、SIVIRA は、小さくても非常に重要な意味を持つ点を描きました。加速させるために、しばらくジュネーヴには通うことになりそうです。
僕たちはもう重要なピースを手にしている
Personal computers in 1975, the Internet in 1993, and – I believe – Bitcoin in 2014.
— Marc Andreessen
パーソナルコンピューターが無かった時代の人達がつくった会社が、Apple です。
インターネットが無かった時代の人達がつくった会社が、Amazon であり、Google です。
今の我々には、これまでとは比較にならないほどの高性能なパーソナルコンピューターも、インターネットも、すでに存在しています。
そして、ビットコインは発明されています。
かつて誰にもなし得なかった規模での変革。それを実現できないと思い込むほうが、不可能です。
もちろん、個人でそんな大規模なことはできないでしょう。それに、時価総額世界一の会社という形でも、おそらく実現される事は無いでしょう。あるいは、国家を作るなんてことができるとも思っていません。
だけど、僕たちは、世界で最も多くの人々の、モノの、AI の、幸せを実現する組織体を作ることができます。これまでに無い規模の、大変革を実現できると信じています。
CERN と SIVIRA はその第一歩です。この壮大な挑戦には、より多くの組織の、個人の、つまりあなたの、協力が欠かせません。
難しい。だからこそ、挑戦する価値があります。