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[書評] レボリューション・イン・ザ・バレー

初代 Macintosh 開発の秘話を当時のメンバーが振り返った伝記。それがこの本です。福音書みたいなものです。

だいぶ前に読んでいたのですが、さっき Mac の中を整理していたら読書ログのファイルが出てきたので、その中にあった引用を貼り付けます。途中抜けてる気がしますが、印象に残ったシーンです。主に Steve Jobs の言動に関するもの。

P.19

「だめだ。そんなことで時間を浪費するんじゃない!Apple II がどうした?Apple II はあと2、3年で終わりだ。君の OS なんか完成する前に時代遅れだ。Macintosh が Apple 社の将来を担っている。君は今すぐにその仕事に取りかかるんだ!」
そう言うと、彼は僕の机の脇まで来て、Apple II の電源コードを見つけ、それを強く引っぱってコンセントから引き抜いてしまった。

P.44

「もしもし、Steve Jobs ですが、Adam Osborne をお願いします。」
秘書は Steve に、Osborne 氏は翌朝にならないとオフィスには戻らないと伝え、何か伝言があるかと聞いた。
「ああ」と Steve は答えた。彼は少し間をおいてから、「これがメッセージだ、Adam に、このクソ野郎、と伝えてくれ。」
秘書がそれにどう答えたらいいのか思いつくまでに長い時間がかかった。Steve は続けた。「もう一つある。Adam は Macintosh に興味があるそうだが、こう伝えてくれ。Macintosh はとてもよくできているから、たぶん自分の子供に2、3台買い与えたくなるだろう。そのせいで自分の会社が倒産に追い込まれたとしてもな!」

P.45

「プリント基板がどう見えるかなんて、誰が気にするんですか?大事なのは、どれだけうまく動作するかってことでしょう。誰もプリント基板なんて見やしませんよ。」
Steve は強う調子で反論した。「俺が見るんだよ!俺は、たとえ箱の中に入っているものでも、可能な限り美しくあって欲しいんだ。優れた大工はキャビネットの裏に使うからといって、質の悪い木を選んだりしないものさ。そんなとこ誰も見なくてもな。」

P.47 まとめ

金曜の夕方に設計したプリント基板が届いて、翌日の朝に組み上げるか、月曜まで待つかを考えていると、Steve は言った。
「月曜日?冗談だろ?Burrell、お前のプリント基板なんだぜ。動くかどうか、今夜中に確かめたくないのかよ?よし、こうしよう。もし今晩中に基盤を動かすことが出来たら、お前と、その周りにいる連中にも、パイナップルピザをおごってやるよ。」
その後、夜に電源投入。電源は入ったが、起動までは行かなかった。みんなはがっかりしたが、Burrell は違った。
「そんなに悪くないじゃん。つまり、RAM とビデオ回路は、とりあえず動いてるってことさ。プロセッサはリセットされてないけどね。あともうちょっとってとこかな。でもお腹が空きすぎて、もうこれ以上はできません。もうパイナップルピザの時間じゃないかと思うんですけど。」
Steve はにっこり微笑んで、初日にしては上出来だし、もうお祝いの時間だと言った。

P.50

「まあ、エント楕円はよくできたな。でも角の丸い長方形はどうだ?それも今できるのか?」
「いや、そんなことできませんよ。」と Bill は食いかかった。「実際、そんなことをするのは面倒だし、さほど必要だとは思えませんけどね。」Bill は Steve が高速な楕円を絶賛しもしないで、それ以上のものを要求することにむかついているようだった。
ここで Steve に火がついてしまった。「角の丸い長方形なんて、そこら中にあるだろ!この部屋を見回してみろ!」
中略
「OK。参りました。思っているほど難しいかどうか、やってみます。」
翌日の午後、Bill は満面の笑みを浮かべて Texaco Towers に戻ってきた。彼のでもは見事に角の丸い長方形を、ほとんど普通の長方形と変わらない、猛烈な速さで描くようになった。

P.72

何よりも、Steve Jobs は自分のことを芸術家だと思っており、設計チームにも同じように考えるように勧めていた。最終目標は、強豪を打ち負かすことでも、多大な収益を上げることでもなく、可能な限り最高の仕事、それをわずかでも超えるような仕事をすることだった。
そして Macintosh のケースの内側に、チームのメンバー個人のサインを刻んだ。
ほとんどの購入者はサインを見ることはないだろうが、誰もそれに気がつかなくても、自分たちの名前がそこにあるという誇りを持つことができるのだ。

P.288, Father of the Macintosh

もし究極的に誰か一人だけが栄誉を受ける資格があるとしたら、僕が迷わず選ぶのは、Steve Jobs だ。似た形のものはできたとしても、もし Steve がいなければ、この Macintosh は絶対に誕生しなかった。他の人々も創造的な仕事を実際にしたが、Steve のビジョン、卓越に対する情熱、そして強靱な意思は、彼の恐ろしいほどの説得能力は言うに及ばず、チームを駆り立て、自ら設定した不可能と思われるような基準を満たし、あるいはそれを超えさせることになった。Steve は Macintosh を動かす影の原動力だという多くの評価をすでに受けている。僕に言わせれば、それはまったく当然のことなのだ。

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[書評] フィンランド・メソッド入門 – グローバル・コミュニケーション力の磨き方(エヴァヲタ編)

例え英語を完ぺきにマスターしたとしても、グローバル・コミュニケーション力が上がったとは言えない。では、どうすればグローバル・コミュニケーション力を磨く事が出来るのか。それに応えるのがこの本です。

手にして想像以上に薄い本だったのでびっくりしたが、内容は濃かったです。さっそくフィンランド・メソッドを使いながら特に影響を受けた点をまとめてみます。

グローバル・コミュニケーション力の必要性

グローバル・コミュニケーション力とは、「常識的に考えて」とか「空気を読んで」が通用しない状態でコミュニケーションを取るために必要な力です。フィンランド・メソッドのよると、その能力を磨くために必要な要素は次の5つ。

  1. 発想力
  2. 論理力
  3. 表現力
  4. 批判的思考力
  5. コミュニケーション力

以下、各要素の磨き方につて。

発想力

マインドマップを使う。

マインドマップ – Wikipedia

論理力

意見には必ず理由を付ける。正しい意見でも間違った意見でも、「なぜ?」と問い続けて理由を引き出します。どんなことにでも3段階まで理由を引き出すようにする方法が紹介されています。

  • なぜなら
  • それに
  • また
意見に理由を付ける例
エヴァンゲリオンが好きです。
なぜなら、細部にわたる手の込んだ設定や心理描写が、他に類を見ないほどの深さを感じされるからです。
それに、哲学的、宗教的キーワードをちりばめたストーリーには、多くの解釈の余地を持たせ、放送開始から10年以上たったいまでも議論が尽きないのも、楽しみの一つです。
また、主人公達と同じ年代でこの作品に出会ったことにより、その後の人生観に強い影響を受ける事にもなりました。

表現力

作文を書く。フィンランドの小学校では、発表と作文によって表現力を鍛えるとのことです。ただ、最初のうちは発表のために原稿を用意するので、作文が表現の基本となるのです。口頭での説明と違って、作文は読み手の反応に対してやり直しがききません。だからこそ、事前に考えて書く必要があります。これは Blog 書く時にも意識すべき点と同じです。つまり、Blog 書けばいいと思います。

批判的思考力

フィンランド・メソッドにおいて、作文は書いて完成ではありません。書いたの後、クラスメイトからの批判とそれに対応する書き直し作業を経て、始めて完成品となるのです。良いところ、悪いところを指摘してもらい、そこからさらに表現の精度を高めるプロセスが必要なのです。

また、自分の意見に対しても批判的に見つめ直すことが重要です。思いこみで意見を言っている可能性があるので、「本当にそうなのか?」と、自問自答することは欠かせません。

コミュニケーション力

他者と自分の意見を出し合い、より良いゴールへ到達すること。これこそグローバル・コミュニケーション力を磨く理由です。そのために必要なのが議論。この本には、小学生のクラスで作ったという議論のルールが登場します。

  1. 他人の発言をさえぎらない。
  2. 話すときは、だらだらとしゃべらない。
  3. 話すときに、怒ったり泣いたりしない。
  4. 分からないことがあったら、すぐに質問する。
  5. 話を聞くときは、話している人の目を見る。
  6. 話を聞くときは、他のことをしない。
  7. 最後まで、きちんと話を聞く。
  8. 議論が台無しになるようなことを言わない。
  9. どのような意見であっても間違いと決めつけない。
  10. 議論が終わったら、議論の内容の話はしない。

いくつか補足引用です。

「他人の発言をさえぎらない」について。</>

発言内容はもちろん、発言そのものも最大限に尊重する

「議論が台無しになるようなことを言わない」について。

事前に了承済みの前提に立ち返って、議論を蒸し返す事などを指します。

前提に立ち返ると、他の人が気づかなかった論点を示したように見えるので、優越感に浸れるのです。

議論を台無しにする例
「それでは、ヱヴァンゲリヲン新劇場版はおもしろいか否かについて議論しましょう。」
「ちょw そもそもエヴァなんておもしろいか?オレは綾波より長門がいいね。」

違う意見への対処法

違う意見に出会った時、どうやって自分の意見を伝えるべきか。大きく分けて3つの方法があります。

同調 – 自分の意見は捨てる
相手: エヴァオタってキモいよね
自分: うん、そうだね
はぐらかし – 白黒付けずに終わる
相手: エヴァオタってキモいよね
自分: うーん、そうかな
否定 – 反撃する
相手: エヴァオタってキモいよね
自分: エヴァオタキモいって言うヤツがキモい!

では、フィンランド・メソッドを使った場合、どう対応するのば良いのでしょうか。

反論
相手: エヴァオタってキモいよね
自分: どうして?
相手: リビドーとかデストルドーとかリリスとかリリンとかわけわかんないことを議論してるからだよ
自分: でも、そこまで深く研究して物語を読み解いていくなんて、かえって尊敬に値すると思うけどなぁ

このあとオタ乙と言われたら、議論のルールに違反だと指摘します。

つまり、「本当にそうなのか?」をきっかけに反論するのです。相手の立場になって考え、相手の意見の論理をひもとき、それに対する反論意見を考える。それがフィンランド・メソッドでの議論に欠かせないアプローチです。

実際の教育や子育てで活用したい方や、もっとまともな例で詳しく知りたい方は本をどうぞ。

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ねんどろいどミク

オフィスで発見。

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けいおん!と音楽

久々でいきなりアニメの話題ですが、「けいおん!」は実にすばらしかった。あのクオリティの高さが京アニのブランドなのだと再認識。同時に、あんなクオリティを生み出したいと改めて思いました。アニメ作るわけじゃないけど。

そんな「けいおん!」とは関係ないけど、ちょっと感動した世界のけいおん動画。

Stand By Me | Playing For Change | Song Around The World from Concord Music Group on Vimeo.

Via Digg.com: Best Video I’ve Seen Today Will Make You Smile

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MovableType から WordPress へ乗り換え

Matt との約束通りついに乗り換えました。いまテストしてます。

WordCamp Kansai に参加した時に決断したのですが、この週末までまとまった時間が取れませんでした。ようやく片付いたところです。

WordCamp Kansai 2009 « messaliberty

WordPress のセットアップ自体は驚くほど簡単。つまらない作業も無く、すばらしいです。メッサリバティの Blog でも WordPress を使っていますが、インストールを自分でやったのは初めてでした。

乗り換えはちょっと大変。WordPress、MovableType 双方のコードを少し修正する必要がありました。その過程について書きたいのですが、いまちょっと限界なのでまた後で。

まずは Matt と WordPress コミュニティーのみなさんにお礼を言わなくてはなりません。Thank You!

身近なところから WordPress の布教(?)に貢献していきます。

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AIG ボーナス問題

今日こんなエントリーを見つけたので紹介。

金融日記:AIG社員の最後の手紙(翻訳、藤沢数希)

AIGボーナス問題。個人的には、あの非難のされようには違和感を感じていました。非難自体にではなく、メディアの主張が一方的である事に対してです。

ちゃんと説明すれば理解される事なのではないかと思っていたのですが、その説明が十分にできなかったのか聞いてもらえなかったのか、あるいは騒ぎ立てる事でスケープゴートにされたのか、とにかく収拾が付かなくなっていったのが現実です。問題なのはボーナスの支払いではなく、もっと業界全体の構造的な部分にあると思うのですが、どうなんでしょう。自分もあまり詳しくないので断言できませんが。メジャーリーグみたいに業界全体で報酬が高騰しちゃってるのは確かだと思います。

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[書評] 弾言

小飼弾氏の弾言を読みました。前回の書評とはオン・ザ・エッジつながりとなります。

この本をひとことで表すならば、「日本版金持ち父さん・貧乏父さん」。いや、マッチョ父さんとウィンプ父さんかな。要するに、格差社会で生きていく上での知恵とスキルについての、Dan KOGAI からの提言です。以下、読んで感じた事など。本書の影響で表現がストレートな部分が多くありますが、それもまた本書の提言だと感じましたので、そのままにしています。

まず、無記名の善意にあふれている現代社会においては、それを活用する人としない人の間に大きな差が生まれる、という点。無記名の善意についてはググっていただくとして、たとえて言うなら道路やインターネット、オープンソースソフトウェアが該当します。これらはすでに活用できる状態で目の前にあります。前世紀までとは比べものにならないぐらい多くあります。あとは活用するもしないもあなた次第ですよ、という話。

ここで問題となるのは、活用したくても時間が無くて、あるいはやる気が無くて活用できませんよ、という人がいる事。そう、活用するには活用できる状態を造り出す必要があるわけです。そして活用出来ない人の例が、モノとして扱われている人々です。幸い現代の日本社会においては、そもそも知識が無くて活用の糸口がつかめないという人はほとんどいません。活用できないのは主に、時間的な問題と、やる気の問題です。やる気が無い人はそれはそれで本人の選択でもあるからいいと思うのですが、時間の問題を抱えているのが、モノとして扱われている人々になります。本書の中では、モノとしての扱いから脱却するための提言がされています。例えば仕事時間を減らし、それによって収入が減るのなら支出を減らせ、など。そして節約した時間を活用してヒトとして扱われるよう自分を建て直す、というのが解決策です。

次に、カネこそが平等な基準であるという主張。これは堀江氏もよく言っていました。カネでモノを買える世の中こそが人々を幸せにしたという意味です。激しく同意。カネでモノが買えない時代に、人々に平等なチャンスが生まれにくいのは事実です。

そのカネとうまく付き合うためには、自分のバランスシートを作って質を見極めよというのが Dan KOGAI の提言。見極めた結果自分が持ってないスキルやモノは、誰かから買えばいい。それがカネにできることであり、カネを有効利用する方法でもあります。さて、自分に足りないモノは何でしょうか?それを明確にすることにより、カネだけでは無くコネ(人付き合い)の使い方が明確になります。

人間関係において最も重要なリソースは、時間。ここでも出ました。時間は全ての人類に、金持ちにも貧乏にも、マッチョにもウィンプにも共通で有限なものだからです。だからこそ、そのリソースの配分が重要になります。本書の中にはいくつか式が出てきますが、一番面白かったのがこれ。

友人1人当たりから得られる利益 = 相手の単価 – 付き合いに必要な時間

ストレート過ぎてひどい件w

さらに、お互いのコストを最小限にとどめ、利益を最大化する人付き合いという考え方も出てきます。上記の式のように、誤解を恐れずにストレートに話すことは、それに一役買っているのです。

付き合いに必要な時間 = コストに関してですが、その中でもとりわけ高くつくのが初回獲得のためのコスト。新しい知り合いをどんどん増やす際には、それに見合う戦略が無ければ効率が悪いという結論に到ってしまいます。それでもその高いコストを支払える人こそが多くのコネを保有するハブとなり、ネットワークの中心にいるのです。

先行投資をしてコネを先に獲得するか、資産を蓄えてからその資産を持ってコネに投資するか。重要な問題です。コネから資産が得られる人は、他の人より多くのコストを支払ってでもハブを目指すべきであり、短期的にはコネから得られる資産が少ない(コストパフォーマンスが悪い)人は、まず先に支払えるだけのコストを賄うための投資をすべきだということになります。

この部分、僕自身が常日頃意識していながら言葉に出来ていなかった部分です。この本で得られた一番の収穫かもしれません。ちなみに、こうやって見てみるとなんだかドライな印象を受けてしまいますが、コネから得られる価値はカネやモノだけだとは言っていません。精神的な安らぎや充実した時間のような、price less な価値も当然存在します。

その他にこの本から得られた収穫としては、オン・ザ・エッジ時代の社内体制整備の話題があります。堀江氏の過去の本でも語られていた日報システムの本来の目的が見えました。いま自分たちが取り組んでいる社内体制整備の話題とリンクして、大いに参考になりました。

また、簡単に達成感を得られるものを常に用意しておくアイデアは即採用です。人間にとっての最大の報酬は達成感・満足感であり、それを満たす事によって新たな推進力を得るという考え方。やらなければならないことが山積みなのに手に付かない時、まずは達成感を刺激することから始めてみるというのは実に納得がいく話です。普段自分が実践している Google Docs を使ったマネジメントも、一種の達成感の見える化ですが、そこにさらなる応用として取り入れられないか、考えてみたいところです。

本書の後半は世界経済の今後を読み解くテーマとなります。少子高齢化で停滞した経済を救うための提言などは強引ではあるものの、もっと議論されてもいいと思いました。

最後に、この本の一番のメッセージとは何なのか。自分の中に残ったのは次の通りです。

単純なモノの価値だけでは価格競争に巻き込まれる、付加価値を付けて売れ!という言葉に代表される、現在の我々が接している社会から見えて来るもの。それは、ヒト(とヒトが生み出す無限の想像力)の価値が、それ単体では有限であるモノの価値を遙かに超え、カネの価値と nearly equal になったということです。そんな社会においては、いかにモノとしてでは無く、ヒトとしての価値を生み出す働き方ができるかが重要なのです。

さらっと読めたのでさらっと書くつもりが、長くなってしまった。それだけ密度の濃い本ということでしょう。

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[書評] 徹底抗戦

ホリエモンこと堀江貴文氏の最新本。発売前から興味はあったのですが、ニコニコ動画生放送「堀江貴文×ひろゆき緊急対談」で「この本はホントに自分で書いた」と発言されていたこともあり、読もうと決めていました。価格が1,000円と手頃なので、応援の意思表示としても早めに読みたかったのです。

いつもの Blog の流れそのままに赤裸々に内情を語る本書のスタイルは、本というよりも印刷した Blog を読んでいるかのようでした。舞台は逮捕直前から現在にかけて。当事者である本人の視点で語られる事件とその裁判の過程は、メジャーなルートから入るどんな情報とも異っており、あらためてマスメディアから伝わる情報の偏りを感じました。

自分が起業する直前から堀江氏はメディアで目立つようになり、その発言の数々に刺激を受けた事は確かです。起業しようという決断に至るプロセスには、堀江氏の影響が無かったと言えば嘘になります。当然、過去の本もほとんど読んでいると思います。たくさんありすぎて全部をカバーしているわけではないので、ほとんどということになります。

本を読んで一番感じたのは、彼の復活への期待です。復活とは大げさで、別に大きな何かを期待しているわけではありませんが、堀江氏が一貫して語り続けている夢に向かってのアクションをもう一度見てみたいという気持ちがあります。その姿に励まされる人は、決して少なくないと思っています。ニコニコ動画生放送での人気ぶりも、そんな未来の姿を容易に想像させてくれます。

この本を語る上で欠かせないのが、もう1人の当事者でもある宮内亮治氏の本、「虚構 – 堀江と私とライブドア」。2007年10月29日に僕は読んで、以下のようなメモを残していました。

絶頂期のライブドアの内情、当事者たちの心境、これからの展望。それらが克明に記されており、ベンチャー企業経営において注意すべき点や着目すべき点など、失敗から学べる多くの収穫があった。

この感想からも分かるように、こちらの本では「反省」が中心となっています。まさに、「徹底抗戦」の逆を行く考え方です。失敗から学び取り次へ活かすことも重要ですが、ひたすら信じた道を突き進む姿勢への憧れと、その当然の結果として発生する苦悩をこの「徹底抗戦」から感じることができました。Steve Jobs の人生も然り。堀江氏の今後の活躍を僕は応援します。

最後に、本書の一部を引用します。

「そんな夢みたいな話し」と多くの人は言う。「そんな話より現実のほうが大事だ」という気持ちもわかる。今、この瞬間にも大量の人が飢えや貧困に苦しんでいる。そんなご時世に宇宙?なに言ってんの?という批判をたくさん受けた。今でも受ける。だが、私は思う。人は、パンだけを食べて生きているにあらず。夢を食って生きているのだ。

未来への希望や、未知なるものへの冒険心を失ってしまっては、いくら物質的に豊になろうが、経済的に豊になろうが、私の心は満たされるはずもない。

(中略)

「目的も無く金を稼いでいるから、そんな目に遭うんだ」

と言う人がいる。

馬鹿も休み休み言え!

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マクドナルドのコーヒーはおかわり自由

知ってましたか?僕はずっと知りませんでした。そんな噂を聞きつけて店員さんに聞いてみたら、あっさりとおかわりもらえました。120円で1杯買えば、後は飲み放題です。どこにも書いていませんが、できるみたいです。

iPhone ユーザーには無料の Wi-Fi 接続があるし、さらにプレミアムローストコーヒーがおかわり自由・・・。マクドすげぇ。I’m lovin’ it!

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[書評] スティーブ・ジョブズ 神の交渉力

Steve Jobs にまつわる数々のエピソードを取りあげ、「交渉スタイル」に焦点を絞って解説した本です。Steve本、あるいは Apple本を複数読んだ事がある人であれば、ほとんどがすでにどこかで目にした事のあるエピソードばかりです。Steve苦難の時代がメインとなるので、Pixar や NeXT に関するエピソードも多く含まれています。帯やタイトルから感じるようなノウハウ本では決してありません。テクニックだけを盗んでマネすると大失敗しか残らないようなエピソードばかりです。

さらりと読み終わりましたが、この本から読み取れる Steve の交渉に対するスタンスは以下のようになります。

  • 人を信じるな
  • 目的達成のためなら人を裏切れ
  • 自分の都合が最優先

これだけ見るととんでも無いヤツですが、その認識は間違いでは無いでしょう。言い換えて一言にまとめるのならば、こうなります。

  • 絶対に自分の直感は裏切るな

いつどんな時でも自分の直感が最重要であり、周りの雑音に惑わされずそれのみを信じて突き進む。目の前にある物が自分の信じた物と違うのならば、それは間違った物である。その考えを貫き、組織として目標を実現するには、まさに独裁以外の方法はありえません。それこそが Steve の経営方針、生き方の神髄ではないでしょうか。

また、自分の弱点を改善するぐらいなら、ひたすら得意分野に磨きをかけるという考え方も、直感に従うのならば当然の人生戦略です。たとえそれが諸刃の刃になろうとも、自分の内なる声だけは裏切らなければ、物事は最終的には良い方へ転がる。Steve の生き方とその半生を見て、僕はそう感じています。

印象に残ったのは Steve のこの言葉。P.218より。

「人生で大きな決断を下す際にもっとも助けになったことは、もうすぐ死ぬということを頭に入れておいたことだ。周囲の期待やプライド、または失敗や恥への恐怖は、死を前にすると消え去り、本当に大事なことだけが残る。自分の気持ちに従わない理由はない」

なぜそれほどまでに直感に従うのか、そして「常識」に従わないのか。すべてがつながりました。中途半端では意味がない。やるのならば常識を覆すほど、徹底的にやる。

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