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雑記

個人が最強になる時代・後編

個人が最強になる時代について、続きです。

大きな会社は、組織として拡大することが至上命題でした。生き残る確率が増えるし、競合を打ち負かすためには体が大きい方が有利だったからです。取れる戦略も増え、扱える力が増します。

しかし、コロナ禍で状況は急変しました。多くの人が集まることが禁止されたわけです。組織として大きくなればなるほど、コラボレーションを円滑に進めるためには、集まって話し合いを重ねる重要度が増します。密に接してすり合わせをするコストが急増するのです。数名の Startup よりも大企業の方が会議や集まりが多いのは自然なことです。
また、多くの人々の関心を強く保ち協調を促すため、大企業には壮大な建築物、教会としてのオフィスも重要でした。
それらが今、変化しました。集まれないし、教会を見ることもできない状態です。入社以来一度も礼拝<出社>を行なっていないメンバーも存在していることでしょう。

つまり、大規模な組織が密に連携し、コラボレーションすることの効率が劇的に落ち始めています。合わせて、維持するためのコストが相対的に上昇しています。ビデオ会議で済ませることはできますが、以前の水準のつながりを維持するためには、全員のアテンションを割く時間も長くする必要が発生します。結果、消耗しますし、共有幻想は保ち辛くなります。
対面のコミュニケーションであったり、組織としての連携を最大限に売りにしていた大規模な会社は、転換を迫られます。徐々に生産性を低下させるか、根本的にやり方を変える必要が発生しているのです。

この先予測できることは、適応などできないという結果にたどり着くことです。多くの大規模組織、大企業が、徐々に生産性を低下させて、その状況が当然だと理解し始める状態です。これまでがブーストされた状態であって、本来、いわゆるライフワークバランスを維持しつつ、搾取を排除し、健康的な人間的生活を営んでいくためには、労働時間も短くし、コミュニケーション負荷も少なくする必要があったと気づき始めるパターンです。

そうなれば、企業の生き残りのために、ゆるく広い繋がりに移行せざるを得ません。今の世の中主流である央集権型組織としても、今のオープンソースプロジェクトやもっと厳密に言えば DAO のような、分散型組織を目指していくことになりますし、遠隔での働き方が中心となった時代においては、労働者もこれまでと違った視点で所属先を選択することになります。

何が言いたかったかというと、これからは圧倒的に個人が強くなる時代だということです。たった1人で大きな仕事を成し得るようになるわけではありませんが、個人の権利が上昇し、尊厳が保たれ、個人が有利になる時代に入ったと思います。同時に、組織でできることの可能性が低下し、難易度が上昇します。強い個人にできることの価値が相対的に上昇します。
そこからさらに、その強い個人の緩いつながりを実現することができれば、それは旧体制型の滅びゆく大組織よりも生産性の面で秀でることでしょう。

明らかな転換点にいると感じています。

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