いつの時代も、戦争によって科学技術が進歩し産業が発展してきた悲しい現実が付きまとっています。インターネットは特にその影響がはっきりとしており、仮想通貨にも使われる暗号化技術は、まさしく矛であり盾として機能し発展してきました。
戦争があるから戦争産業がなくならないのか、あるいはその逆なのか、本当のところはまだ判断できませんが、少なくとも相互に密接に結びついていることに違いはありません。
2021年の現在においても、いまだにミサイルを打ち合う伝統的な戦争は継続されています。新型コロナウィルスによるパンデミック程度では、人類の共通の敵とはなりえず、人類はいまだに1つにはなっていないことが証明されました。むしろこの数年は、分断が可視化されて、分散化が顕著に進んでいる印象さえ抱いてしまいます。
派手にミサイルを打つ国同士の争いに注目が集まってしまいがちですが、実際のところはもっと幅広く様々な場所において、同じように深刻な攻防が繰り広げられていると考えられます。
多くの戦いが、物理的な領土の奪い合いではなく、お金を生み出す源であったり、長年にわたり積み上げられた知識や情報であったりするわけで、それらの戦いが繰り広げられているインターネット上では、 目には見えない血が流れ、今日を生きる命ではなく将来の価値が奪われています。
中国とアメリカが大々的に繰り広げている攻防は、ある種の宣伝広報活動にも見えて、サイバーセキュリティーの重要性や、そこに投下する資本の正当性を世界中の人々に教育していると捉えることもできます。結果としてここから先にも、サイバーセキュリティー分野において、戦時下の軍需産業がそうであったように、新しい産業が発展し急成長を遂げることが予想されます。
アメリカの石油パイプラインが停止した問題では、ランサムウェアが使われたと報告されています。オープンソースの世界が発展してきた過程そのままに、犯罪に用いられるソフトウェアも、多くの人の無邪気な、そしてもしかすると純粋に善意によって、発展しています。それが攻撃に用いられて、結果的に反撃するためのソフトウェアによる兵器が作られ、調査をするためのソフトウェアが作られ、防衛するためのソフトウェアが作られるのです。
概念を複雑化させつつ、螺旋状に人類の戦争の歴史も進化しているというのでしょうか。
今起こっている争いは、もはや国単位だけではありません。企業が国家並みの予算と力を持つ今、企業も主要なプレイヤーとなります。この成長を始めた市場では、これからも広義の戦争産業が発展していくことでしょう。
コロナ禍でリモートワークが増え、社員がオフィスを飛び出しました。圧倒的に防衛能力が落ちています。新型コロナウイルスには対抗していても、サイバー空間で猛威を振るうウイルスやサイバー攻撃にはむしろ抵抗力が下がっています。ますますリスク部分が露骨になっているわけです。
急激に発展したデジタルトランスフォーメーションの反動が来ます。備えはできていますか?