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雑記

人間の行動は予測される

人がどのように行動するかなど、予測することは難しいうように思われます。それはその通りで、たしかに個々人の行動を正確に予測することは難しいです。体験的に誰もが知る真実です。
ところが、群衆になると、ある程度予測ができるという話です。

古い番組ですが、Netflix で配信されているドキュメンタリーに「宇宙に隠された暗号」というのがあります。

その中にいくつか、興味深い例がでてきます。
例えば、駅の混雑を回避する方法についての考察です。昆虫や動物のように行動パターンを紐解けば、人は移動するときに最短距離を直線に進む習性が見えてきます。そしてその最短距離を効率的に安全に進むために、無意識に列を作るそうです。その際に、他者とぶつからないように進むことも自律的に行われます。普段全く意識はしていませんが、たしかに客観的に人の流れを見れば、そうなっていることがわかります。
そこで、混雑が起きる駅など広い場所では、人間の群れの直線同士が交錯しないように、中央に障害物を設置したりするそうです。そうすることで、全員が中央のモニュメントなどを中心に動くようになるのです。これによって、混雑状態よりも流れの効率が13%改善するそうです。

つまり人間の群衆の行動は、観測すればシンプルで、予測がしやすいということです。

駅の例は人間にとって有益な事例でした。都市設計に応用すれば、混雑の回避や人流の制御が可能になります。おかげですべての人が安全に効率よく移動できるようになるわけです。

では、同じようなことを広告分野で活用するとどうなるでしょうか。こういう単純な発想が、現在の広告ビジネスを形成しています。

軍おいて原子力や弾道ミサイルなどの高度な計算を行っていたエンジニアは、ニューヨークの金融社会で新たな活躍の場を見つけました。例えばクオンツと呼ばれる人たちは、高度な計算によって金融の世界を大きく変えました。その後膨れ上がった業界は、リーマンショックを経て、様変わりします。
一括に言えることでは有りませんが、その後金融街を離れた優秀な数学者やエンジニアは、高い報酬が約束された西海岸、シリコンバレーに移籍することになりました。その結果、Google や Facebook、あるいは Amazon のような、顧客の個人情報を徹底的に解析し、予測することに長けた企業が急成長するに至りました。

我々が普段目にしている情報は、本当にほしかったものであるかも疑わしくなっています。SNS からおすすめされた情報、Google の検索結果に出てきた情報、Amazon で安くなっていた商品、これらは本当に必要なものなのか、本当に有益なものなのか、我々人間はすでに考える能力を奪われています。

広告トラッキングのように行動の履歴を鮮明に記録され、それを元にした高度な計算が行われた場合、群衆の行動は正確に予測されていると思うべきです。そして、売れる商品やバズるニュース、当選する政治家や支持される法案を生み出すことだってすでに実現しているかもしれません。個別の事例についてはここで掘り下げませんが、すでにそういうことが世界各地で起きているのが現状だと思うところから、それで良いのかを考えるべき時です。
群衆は当然として、個人については、Google や Facebook、Twitter や Amazon に、より細かな情報を提供してしまっています。我々は、無料、あるいは格安でサービスを受ける代わりに、それ以上の費用としてプライバシーを支払っていたということになります。

Apple が広告のトラッキングを難しくする方針に舵を切り、議論を呼びました。そしてその変更がすでにリリースされ、変化が始まりました。対抗して Google や Facebook は、新たな広告ネットワークの構築、行動トラッキング、予測の方法を提唱し、今日も実験を続けています。家庭に入り込んでいるホームハブ、AI スピーカー類もその一部です。

この状況を加速させるような仕事の仕方は、これからどのように人々に評価されるのでしょうか。ダイナマイトを作った人を死の商人と呼んだように、この先 SEO やマーケティング、グロースハックという活動にはマイナスの評価が与えられる可能性すらあるのではないでしょうか。

我々はすでに、多くを支払い過ぎています。その結果、高度な予測に必要な情報量の水準はすでに超えていて、これ以上は直接的な情報の提供が無くても各社が独自に持っている情報と組み合わせて予測がでいるようになっていくものだと思います。

群衆の行動は予測がしやすいのです。いまこういう反応を示す人が増えていることもまた、予測の範囲内であるはずです。我々を導くのは、誰かが作ったアルゴリズムで良いのでしょか。

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