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雑記

アニメ監督のマネジメントスタイル

マネジメントというのは奥が深く、ゴールや業界によって方法は全くことなります。人類は組織化して文明を発展させたわけですが、農業の発見以降に本格化し拡大したマネジメントの概念は、まだまだ分裂と進化を遂げている最中に思えます。

僕は人に関しては、マネジメントと呼ばれるものは得意な方ではありません。しかし同じように人と関わることや人をマネジメントすることが苦手に見受けられる人物であっても、業界によってはそれを補完する仕組みができていて、うまく成果につながっている場合があると常々思っていました。その代表的な業界が、アニメ業界です。

アニメ監督は経営者ではありませんし、スポーツの監督でもありませんので、マネジメントの仕方が体系だっていないのではないかと思っています。スポーツにしても経営にしても、監督をするための方法を学ぶ学校があったり、それなりにシステム化されていますが、アート分野に関してはそもそも教えられるものではありませんし、体系立てて良いものでもありません。
そういうわけで、アニメの監督は、それぞれが独特の考え方、体験に基づいて、作品を作るためにチームをマネジメントしているのではないでしょうか。
会社経営的な側面はプロデューサーが務めるという役割分担があるのは、アニメ制作の良い部分だと思います。おかげで監督は、おもいっきり作品の質の向上に徹することができます。
収支や業績とのバランスについてももちろん考えるのでしょうが、プロデューサーや他の人たちとの役割分担ができる体制になっていることは、監督にとって良いことだと、外から見ている分には思います。

僕はこれまでに、ジブリ関連のドキュメンタリー映画や取材をまとめた記録映像、解説動画を結構たくさん観てきた方だと思います。それでももちろん聞きかじった一部しか知らないと自覚はしておりますが、十分に興味深い監督ごとの違いというのがあると、観ていて気づきました。

現代の日本アニメ界の始祖の一人である高畑勲監督であれば、その監督としてのマネジメントスタイルはこう表現できるのではないでしょうか。

違います。やり直してください。
※ただし指示はなし。

マネジメントというか、禅問答のようですね。マネジメントという言葉が適切ではないと思います。やはり作品を仕上げるための監督、ですね。

そしてその指示に鍛え上げられた宮崎駿監督であれば、こうです。

違う!オレがやる!お前はいい!

やはりマネジメントという考え方ではありません。作品を仕上げることに魂を削っている感じを受け取ります。

先日のシン・エヴァンゲリオンの制作ドキュメンタリーを見ていて、そんなジブリを見てきた庵野秀明監督はこういうスタイルに見えました。

全部皆さんに任せます。
※そして結果を全部受け止めてから↓
なるほど、こうでは無いということがわかりました。ありがとうございます。

そしてすべてを捨てて自分で作り直すというわけです。

どれも、単発で目先の作品の完成度を上げることを最優先にしていて、潔いです。後のことなど考えても仕方ないわけです。目の前の作品が、結果に結びつなかければ、次はないということです。そのためであれば、組織としての成長など気にしている場合ではありません。
まず、生きねばならないのです。

エンジニア中心のテクノロジー業界としても、学べることがあると感じました。

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