資金決済法の改正について
昨年成立した「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための 銀行法等の一部を改正する法律案」が、2017年4月1日から施行します。その中の「資金決済に関する法律」に追加された仮想通貨に関する法律が仮想通貨法と呼ばれています。今回の施行により、ビットコインなどの仮想通貨が今までモノとして扱われていたのに対し、法律的に「お金」として認められることになります。この法律改正に伴い、日常的に仮想通貨を使える場所が増えることが期待されます。
では今回の改正で具体的に何がどうかわるのでしょうか。主に仮想通貨交換業の登録と規制に関して詳しく定められ、銀行や証券会社などに対して課せられている義務が仮想通貨交換業に対しても求められるようになります。
いつまでに登録しないといけない?
附則第八条
この法律の施行の際現に仮想通貨交換業(第十一条の規定による改正後の資金決済に関する法律(以下この条において「新資金決済法」という。)第二条第七項に規定する仮想通貨交換業をいう。以下この条において同じ。)を行っている者は、施行日から起算して六月間(略)は、新資金決済法第六十三条の二の規定にかかわらず、当該仮想通貨交換業を行うことができる。その者がその期間内に同条の登録の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。
施行日の4月1日から6ヶ月以内に登録申請を行う必要があります。
登録が必要な業者とは?
第二条
7 この法律において「仮想通貨交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「仮想通貨の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいう。
一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。
第六十三条の二十二
第六十三条の二の登録を受けていない外国仮想通貨交換業者は、国内にある者に対して、第二条第七項各号に掲げる行為の勧誘をしてはならない。
あくまでも業として行う場合(簡単に言うと銀行や証券会社のような役割をする場合)のみに登録が必要であって、個人投資家が仮想通貨の取引をする場合などは該当しないので登録は必要ありません。また注意しなくてはいけないのは、外国において仮想通貨交換業者として登録されていても、日本で仮想通貨交換業者として登録しないと、業を行うことができなくなります。
申請には何が必要?
第六十三条の三
前条の登録を受けようとする者は、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
一 商号及び住所
二 資本金の額
三 仮想通貨交換業に係る営業所の名称及び所在地
四 取締役及び監査役(監査等委員会設置会社にあっては取締役とし、指名委員会等設置会社にあっては取締役及び執行役とし、外国仮想通貨交換業者にあっては外国の法令上これらに相当する者とする。第六十三条の五第一項第十号において同じ。)の氏名
五 会計参与設置会社にあっては、会計参与の氏名又は名称
六 外国仮想通貨交換業者にあっては、国内における代表者の氏名
七 取り扱う仮想通貨の名称
八 仮想通貨交換業の内容及び方法
九 仮想通貨交換業の一部を第三者に委託する場合にあっては、当該委託に係る業務の内容並びにその委託先の氏名又は商号若しくは名称及び住所
十 他に事業を行っているときは、その事業の種類
十一 その他内閣府令で定める事項
2 前項の登録申請書には、第六十三条の五第一項各号に該当しないことを誓約する書面、財務に関する書類、仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備に関する事項を記載した書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
上記の内容で内閣府に申請し受理されると仮想通貨交換業者登録簿に登録されます。
違反した場合の罰則は?
第百七条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
五 第六十三条の二の登録を受けないで仮想通貨交換業を行った者
六 第六十三条の七の規定に違反して、他人に仮想通貨交換業を行わせた者
主にどんな規制が?
第六十三条の十
仮想通貨交換業者は、内閣府令で定めるところにより、その取り扱う仮想通貨と本邦通貨又は外国通貨との誤認を防止するための説明、手数料その他の仮想通貨交換業に係る契約の内容についての情報の提供その他の仮想通貨交換業の利用者の保護を図り、及び仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。
利用者に対しての説明、情報開示が課せられます。
第六十三条の十一
仮想通貨交換業者は、その行う仮想通貨交換業に関して、内閣府令で定めるところにより、仮想通貨交換業の利用者の金銭又は仮想通貨を自己の金銭又は仮想通貨と分別して管理しなければならない。
2 仮想通貨交換業者は、前項の規定による管理の状況について、内閣府令で定めるところにより、定期に、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。第六十三条の十四第三項において同じ。)又は監査法人の監査を受けなければならない。
利用者の財産を自己の財産と分別して管理し、その管理の状況について、定期的に公認会計士又は監査法人の監査を受けなければいけません。これにより、もし仮想通貨交換業者が破綻しても利用者の財産が守られることになります。
第六十三条の十三〜十九より
帳簿書類及び報告書の作成、公認会計士又は監査法人の監査報告書等を添付した当該報告書の提出、立入検査、業務改善命令等の監督規定が設けられました。
ユーザー側は何に気をつけるべき?
仮想通貨交換業に該当する場合、すみやかな登録をおすすめいたします。今回の改正により、登録なしでは今後業務を遂行することができなくなります。また報告、管理義務などを守らないと懲役若しくは罰金が課せられるため、弁護士、会計士などと相談して今まで以上にしっかりと運営していかなくてはいけません。
一方で一般ユーザーとしては、今回の改正でこれまでよりも安心した仮想通貨の取引ができ、今まであったあやしいマルチまがいの取引所なども抹消され、仮想通貨がより日常的に、一般的に使えるようになることが期待できます。
参照